12話 出陣準備 ページ15
12話 出陣準備
「朝早くからごめんな!」
私が戸田さんの家に着いた時、彼女は玄関の前で私を待ってくれていた。
「ううん。私のために朝からわざわざありがとう!」
「そんなんは気にせんでええって!さ、上がってや!」
通された戸田さんの部屋はシンプルながらも、ベッドの上のぬいぐるみとか、オシャレに並べられたコスメとか、The女の子といった雰囲気の部屋だった。
「会場の誰よりも可愛くしたるから、任せとき!」
ここに座ってと案内されたのは、ピカピカとライトが輝くドレッサーの前だった。
雑誌で見たことのあるコスメが目の前に並んでいる。
そのひとつひとつを私の顔の横に並べてこれが似合う、これは微妙だといったようにコスメの取捨選択が行われる。
髪を巻いたのは初めてだった。
きちんとしたオシャレのためのメイクをしたのは初めてだった。
「できた!!これはなかなか...」
早く鏡で見てみ!と背中を押されるまま部屋に置いてあった姿見で自分の姿を確認した。
「すごい...」
メイクで雰囲気が変わることがあることは知っていたけれど、元々の暗い雰囲気が嘘のような、明るい私がそこに居た。
「その服、めちゃくちゃ似合っとるで!」
家を出る時、戸田さんはそう言って私の背中をぽんと叩いた。
少しだけ足取りが軽くなった気がした。
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淀(プロフ) - めーぷるさん» コメントありがとうございます!とても励みになります。現在私生活の方が忙しく更新できておりませんが、待っていただけますと嬉しです! (2020年2月9日 13時) (レス) id: a73053601c (このIDを非表示/違反報告)
めーぷる - え、めちゃめちゃ面白い・・・。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年1月27日 16時) (レス) id: f01d8b6a59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:淀 | 作成日時:2020年1月17日 2時