苦手なはずなのに【10】

227話 ページ8

『ご馳走様でした』

「はい、ご馳走様でした」


ご飯の時間はあっという間だった


私がオススメした
五目焼きそばを美味しいねと
嬉しそうに食べる遊佐さん

言っていた通り
チョレギサラダは2人で半分こしたし
デザートに買ってくれた
牛乳寒天はとても美味しかった

ぎんが君も近くで一緒に
ご飯を食べていて
食べている姿も可愛いものだった



本当に時間というのはあっという間だ



「じゃあ、本題に入りますか」



その言葉に私は
ズンと体が重くなるのを感じる



歌を合わせにここまできたのだが
遊佐さんにどう思われるか



下手だと思われたら…



そんなことモヤモヤ考えていると
遊佐さんは機械にCDを入れる



スイッチを入れられる前に
「ふふふ」と笑い声がきこえた



『何を笑ってるんですか？』

「んー？なんかこの状況面白いなって」

『はい？』


「だって、Aちゃんが僕の家に来て
一緒にご飯を食べて
これから一緒に歌うって

こんなこと誰も予想してなかったでしょ？」

と嬉しそうに遊佐さんは笑っている






確かに誰も予想してなかっただろうけど
そんな事で笑うか？


モヤモヤしていた私が馬鹿らしい


そう思った時に
自然と私も笑っていた





それを見て遊佐さんもまた更に
嬉しそうに微笑んだ

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