緑の片割れは赤とニコイチ。【ヒロアカ】 (ページ45)

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個性《45》ページ45

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なんだか勝己の言うこと聞いてたらデクに怒鳴る気なんてなくなっちゃった。いや、無くなってはいないけど怒鳴れなくなっちゃった。

だから...だからせめてあんたの個性をちょうだい。
あんたよりも使えるようになって証明してやる。すごいのは私と勝己なんだって。

思い返してみるとこの時の私は変だったのかもしれない。後々考えてみるとあの時なんでコピーしようと思ったんだろうって。

私は無言でデクの肩の上に手を置いた。

しかし、コピーと心の中で唱えても何も起こらなかった。

何も起こらなかったどころか私の手は電流が走ったかのように振り払われた。

もちろんデクは何もしてない。

この場にいる3人は頭にはてなが浮いている状態だ。

コピーできないと悟った私は急につまらなくなったのでデクに対する愚痴でも吐いて帰ろうと思った。

『ねぇ。出久』

私が名前を呼ぶとあいつはあからさまに背筋を伸ばした。

『私はあんたが嫌いだ。私が差し伸べた手を振り払ったこと。私があの人に冷たくされているのを陰から見てるだけだったこと。何もかも手に入れていくこと』

ねじは一度外れるとなかなかハマらない。それは私だってしってる。

『今だってそうだ。あんたは個性を手に入れた。挙げ句の果てには私たちよりも大きな記録を残していく。自分と同等...またはそれ以下のやつが遠い存在になって行ってる。だから同じ土俵に立たせたくなかったんだ』

『わざわざ態度悪くしたり理不尽なこと言ったりして同じ土俵に立たせないようにして来たのがバカバカしく思えてくる。そのために費やした時間の分だけ他のことをしてたらまだ私の方が上だったんだろうか』

いつのまにか私は涙を流していた。

でも、今は気にしない。
私は泣きながら出久の目を見て言ってやった。

『あんたが個性を手にしちゃったら私の今まで受けてきた辛さはなんだったって言うの？』

出久は下を向いて黙ってしまった。
返答が無いことを確認した私は勝己のところに行った。

『帰ろ』

勝己はデクに向かって叫んで歩き出した。
私もそれに着いていく形で歩く。

...まだちょっとしか歩いてないけど勝己は止まった。引き止められたから。

No.1ヒーローオールマイトに。

だが、もう立ち直った勝己はオールマイトに手を離すよう促す。

脳裏にあることが浮かんだ私はオールマイトの腕を掴みコピーと念じる。

すると、また手は弾き飛ばされた。