【HAIKYU】守りたいもの､大切なもの〜失いたくないから ２【青葉城西/音駒】

＊183 大切なもの 12 ページ13

〜岩泉side〜

俺が調子はどうか…と聞くと､


"休んでばかりで仕事出来ないからつらい…"


有香は紙にそう書いて､俺に見せてきた｡


｢具合悪いときとかケガしてるときは仕方ねぇよ｡ゆっくり休んでしっかり治すのが第一優先だ｡今のお前の仕事はゆっくり休むことだ｣


有香は本当に責任を感じやすいヤツだ｡自分で自分を責める有香の姿を見ていられなくて､俺はそう言葉を掛ける｡


とにかくゆっくり休んで早くケガを治して欲しい｡


…襲われた傷は癒えねえだろうけど…｡




"ねぇ､ハジメ｡ハジメはどうしてケガをしたの？"




有香は俺が何故ケガしてきたかを聞いてきた｡




今回の事件の真相を知らない俺は､有香が青城男子バレー部のマネージャーを辞めた後の出来事を掻い摘まんで彼女に話していく｡




春風に階段から突き落とされたことを話した時､有香の顔色が変わったのに俺は気付けなかった｡




俺の話したことが､有香を追い詰め､責任を感じさせ､有香に自らの存在を消す決意をさせてしまうなんて､まさか思ってもいなかった｡




"お風呂に入れないから身体を拭いて欲しい"




と頼まれ､タオルを濡らしてくると､シャツをめくって傷口に触れないようにゆっくり背中を拭いてやっていった｡




細い身体に痛々しい傷…｡




背中を拭き終わると､前は自分で拭くようにと言って､タオルを渡してやる｡




有香が身体を拭いている間､俺は背中を向けていた｡




身体を拭き終わった有香が俺の腕を引いて合図をし､俺は有香の方へ向き直る｡




"話してくれてありがとう､ハジメ｡おやすみ"




そう書かれた紙を見て､俺はタオルを有香から受け取り､彼女におやすみ…と声を掛けてから男マネ室を後にした｡




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