八話 ページ9
「では行きます。本当にいろいろありがとうございました!」
私は元気よく青年に告げた。
今から狭霧山の麓に住んでいる鱗滝左近次さんに会いに行く。
することが決まっている限り立ち止まってはいられない。
「……あぁ、気をつけて行くんだぞ……」
相変わらずの無表情。
だけどその気遣いの言葉に私の頬はだんだんとゆるんでいく。
心も温かいもので満たされる。
「ふふっ、ありがとうございます!本当に優しいんですね」
彼の優しさが嬉しくて、ついくすくすと小さく笑ってしまった。
それが不思議だったのか
「俺が……優しい……?」
と聞き返してきた。
笑ったことではなく『優しい』と言ったことに驚いている様子の青年に私も驚いてしまう。
貴方が優しくないわけがないのに。
「はい!貴方は……すごくお優しい方です。私を照らしてくれた光でもあります。本当に……ありがとうございます」
何度言っても足りないくらいのお礼を言うと、無表情だった青年の顔が少し動いた。
「……そうか」
目を細めて、優しく微笑んだのだ。
その笑顔に思わず胸が高鳴ってしまう。
ばくばくと心臓が大きく音を立ててしまう。
私はつい恥ずかしくなって手で顔を隠してうつむいた。
な、なにこれ……!!
心臓の音がうるさくて、顔が熱い……っ!
私は必死に顔を仰いだ。
熱くて、心臓の音がうるさくて仕方がなかったから。
だんだん落ち着いてきて顔を上げると、青年がゆっくりと口を開いていた。
「……名前を教えてくれないか?」
あ、そういえば言っていなかったな。
私の名前。
私は照れたように笑った。
今度は固くない本当の笑顔。
「花園Aです!貴方は?」
「……冨岡義勇だ」
冨岡義勇さん。
私は小さく呟いた。
だけどそれが彼には聞こえたようで、なんだ?と不思議そうに首をかしげている。
その様子にまた笑みがこぼれた。
「ふふっ何でもないですよー!呼んでみただけです」
私が手で口を隠して笑うと冨岡さんもいきなり両手で口を隠した。
それに何故か耳が赤く染まっている。
……もしかして熱?
鬼を倒したから熱がでてしまった……とか?
心配になって大丈夫ですか?と言うも徹底的に無視されてしまう。
どうしちゃったのかな?
冨岡さん。
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桜子(プロフ) - 紫織さん» ありがとうございます!!夢主ちゃんを褒めていただきすごく嬉しいです!ありがとうございます!これからも、頑張って魅力的な夢主ちゃんを書こうと思います!大好きなんて最高の褒め言葉です!本当にありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします! (2019年8月18日 21時) (レス) id: 9e6ca9452c (このIDを非表示/違反報告)
紫織(プロフ) - この作品がとっても大好きで更新されるたびににやけちゃいます!主人公の真っ直ぐな考えと天然さが合わさってとっても可愛いですね!これからも頑張ってください!! (2019年8月18日 19時) (レス) id: 76ad666f78 (このIDを非表示/違反報告)
桜子(プロフ) - チョコレートさん» ありがとうございます!!面白いだなんて……!とても光栄です!物語が進んでも、そう思ってもらえるように頑張ります!これから色々なキャラクターとの絡みも書いていきますのでお楽しみに♪これからも応援よろしくお願いします! (2019年8月11日 22時) (レス) id: 9e6ca9452c (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート - まっっじで面白いです!(≧∀≦)これからも更新頑張ってください! (2019年8月11日 22時) (レス) id: 20ae2e0245 (このIDを非表示/違反報告)
桜子(プロフ) - 降夜さん» ありがとうございます!!初コメントすごく嬉しいです泣。ストーリーのことも褒めてくださって……!コメントを見るたびに喜びで胸がホワホワしますぅ!更新、明日にはできると思うのでそれまでお待ちください!頑張ります!!!! (2019年8月10日 21時) (レス) id: 9e6ca9452c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜子 x他1人 | 作成日時:2019年8月4日 19時