三十四話 ページ36
「ほら、止め!気持ちはわかるけど焦ってもいいことないよ?君がその色変わりの刀を今日貰ったところでその刀が自分に合わなかったら意味ないじゃん。そういうのも考えて十日から十五日かかるって言っているんじゃないの?」
男の子はングッと言葉につまった。
私は続けて言う。
「仲間同士でこんなことしても意味ないよ。放そ?」
彼は、舌打ちをして渋々手を放した。
根はきっといい人なんだろうけどな……。
何がこの子をこんなに焦らせているんだろう?
「お話は済みましたか?」
黒髪の少女が言った。
少女は前にある机の方に目を向け、かかっている紫色の布を引っ張った。
そこには、ゴツゴツしていて形が不揃いの玉鋼が並んでいた。
「ではこちらから刀を造る鋼を選んでくださいませ。鬼を滅殺し、己の身を守る刀の鋼は御自身で選ぶのです」
私達は玉鋼の前に並んだ。
選ぶ……ってどうやって?
色がついているわけでもないから選べな……
「これ」
私はある鋼を掴んだ。
その鋼からは、優しく心地いい音が聞こえた。
それに私の勘がこれにしろと言っている。
うん、この鋼。
これにする。
他のみんなも自分の鋼を選んで、私達はそれぞれ解散した。
✿✿✿
「Aと別れるなんてやだよお……!結婚してぇ!」
善逸が帰ろうとしていた私の服の裾をぐいぐい引っ張って放そうとしない。
「もう、善逸ー!また会えるから!!」
「ほんと?」
と目をうるうるさせる善逸が少しかわいく思えて、私は善逸の頭をそっと撫でた。
「ほんと!約束にあのハンカチ、善逸が持っててよ!また会える日まで」
うん、と善逸は答えた。
その顔は少しだけ寂しそうに見えた。
私は帰り際、善逸に大きく手を振った。
善逸もブンブンと手を振って何かを言っている。
「A!絶対会おう!」
当たり前だよ。
私は明るい笑顔を善逸に向けた。
「うん!約束!」
こうして私達は無事、最終選別を乗り越え、恩師 鱗滝さんのもとに戻るべく歩き始めた。
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桜子(プロフ) - 紫織さん» ありがとうございます!!夢主ちゃんを褒めていただきすごく嬉しいです!ありがとうございます!これからも、頑張って魅力的な夢主ちゃんを書こうと思います!大好きなんて最高の褒め言葉です!本当にありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします! (2019年8月18日 21時) (レス) id: 9e6ca9452c (このIDを非表示/違反報告)
紫織(プロフ) - この作品がとっても大好きで更新されるたびににやけちゃいます!主人公の真っ直ぐな考えと天然さが合わさってとっても可愛いですね!これからも頑張ってください!! (2019年8月18日 19時) (レス) id: 76ad666f78 (このIDを非表示/違反報告)
桜子(プロフ) - チョコレートさん» ありがとうございます!!面白いだなんて……!とても光栄です!物語が進んでも、そう思ってもらえるように頑張ります!これから色々なキャラクターとの絡みも書いていきますのでお楽しみに♪これからも応援よろしくお願いします! (2019年8月11日 22時) (レス) id: 9e6ca9452c (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート - まっっじで面白いです!(≧∀≦)これからも更新頑張ってください! (2019年8月11日 22時) (レス) id: 20ae2e0245 (このIDを非表示/違反報告)
桜子(プロフ) - 降夜さん» ありがとうございます!!初コメントすごく嬉しいです泣。ストーリーのことも褒めてくださって……!コメントを見るたびに喜びで胸がホワホワしますぅ!更新、明日にはできると思うのでそれまでお待ちください!頑張ります!!!! (2019年8月10日 21時) (レス) id: 9e6ca9452c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜子 x他1人 | 作成日時:2019年8月4日 19時