二十一話 【最終選別編】 ページ23
「お前たちを最終選別に行かせるつもりはなかった。もう子供が死ぬのを見たくなかった」
鱗滝さんが言った。
悲しそうなそれでもって嬉しそうな声で。
この人は、私たちに死んでほしくないって心から思ってくれているんだ。
改めて、いい師範に出会ったなぁと感動した。
「炭治郎、お前にあの岩は斬れないと思っていたのに……。よく頑張った。炭治郎、お前は凄い子だ……」
その言葉に炭治郎は涙をこぼしていた。
「もう教えることはない」と言われた日から、炭治郎と私は別々に修行をした。
あの大きな岩を斬れと言われた炭治郎は、血のにじむ努力の末、見事岩を半分に斬ることに成功した。
私は自分の修行に精一杯で彼の様子は見ていなかったけど、岩を斬る前とあとでは雰囲気が全く違うというのはすぐにわかった。
炭治郎、すごいよ。
「そしてA、お前は自分の呼吸を手にいれた。正直、今までこんなに早く自分の呼吸を身につけた剣士はみたことがない。1年で身につけれるわけがないと思っていたが、お前は儂の想像を遥かに上回った」
鱗滝さんは大きな手で私の頭を優しく撫でた。
う、鱗滝さん……。
泣きそうです……。
「改めて言う、お前たちは凄い子だ。“最終選別”必ず生きて戻れ。儂も炭治郎の妹も此処で待っている」
鱗滝さんは炭治郎と私を強く抱き締めた。
その抱擁は、優しくて、暖かかった。
✿✿✿
炭治郎が長くのびた髪を切り終えたあとに、鱗滝さんは私達にお面を渡した。
あっ、錆兎と真菰が持っていたやつだ。
厄除の面といい、悪いことから守ってくれるそうだ。
私の面は狐のかたちをしていて、右の頬のところに、私が錆兎達と修行した神社の紋章が描かれていた。
錆兎達が近くにいるような感覚になり、気丈に頑張れそうだ。
そして、眠り続ける禰豆子は連れていけないので、鱗滝さんに預かってもらう。
次の日の朝方、炭治郎と私は“藤襲山”へと出発した。
「「鱗滝さん行ってきます!錆兎と真菰によろしく!」」
鱗滝さんは玄関前でそっと手を振っていた。
そして私達が、遠くまで進んだとき、独り言のように呟いた。
「……なぜお前たちが、死んだあの子たちの名を知っている」
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桜子(プロフ) - 紫織さん» ありがとうございます!!夢主ちゃんを褒めていただきすごく嬉しいです!ありがとうございます!これからも、頑張って魅力的な夢主ちゃんを書こうと思います!大好きなんて最高の褒め言葉です!本当にありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします! (2019年8月18日 21時) (レス) id: 9e6ca9452c (このIDを非表示/違反報告)
紫織(プロフ) - この作品がとっても大好きで更新されるたびににやけちゃいます!主人公の真っ直ぐな考えと天然さが合わさってとっても可愛いですね!これからも頑張ってください!! (2019年8月18日 19時) (レス) id: 76ad666f78 (このIDを非表示/違反報告)
桜子(プロフ) - チョコレートさん» ありがとうございます!!面白いだなんて……!とても光栄です!物語が進んでも、そう思ってもらえるように頑張ります!これから色々なキャラクターとの絡みも書いていきますのでお楽しみに♪これからも応援よろしくお願いします! (2019年8月11日 22時) (レス) id: 9e6ca9452c (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート - まっっじで面白いです!(≧∀≦)これからも更新頑張ってください! (2019年8月11日 22時) (レス) id: 20ae2e0245 (このIDを非表示/違反報告)
桜子(プロフ) - 降夜さん» ありがとうございます!!初コメントすごく嬉しいです泣。ストーリーのことも褒めてくださって……!コメントを見るたびに喜びで胸がホワホワしますぅ!更新、明日にはできると思うのでそれまでお待ちください!頑張ります!!!! (2019年8月10日 21時) (レス) id: 9e6ca9452c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜子 x他1人 | 作成日時:2019年8月4日 19時