タラシなあの子はお馬鹿っ娘【鬼滅の刃】

十四話 ページ15

花園Aという少女に出会った。


彼女は花のように可愛らしい。


それは、どんな美女にも引けをとらないほどの美貌だ。


また、彼女は美しいだけでなく、才能が秀でているのもわかった。

俺が苦戦していた山下りをAは軽々とこなし、ボロボロで帰ってきた俺を、無傷で美しい姿を保ったまま手当てをしてくれた。



だから、少し遠慮していた。
Aが別次元の人のように思えてしまって。

自己紹介の時も、さん付けで呼んだのはそんな理由からだった。


本当に馬鹿らしいと思う。

だけどAはそんな俺を“仲間”と言ってくれた。
それが嬉しくて、俺はつい顔を緩ませてしまった。


うわっ！今、俺変な顔になってなかったか!?


見られたかな……？と思い、チラッとAの方を見ると、俺をみてニコッと微笑んでくれた。


その様子が儚くて、優しくて、不意に胸がドキッと鳴った。

胸が締め付けられるようだったけど、心地いい音だった。


✿✿✿


｢炭治郎の後ろにいる女の子って誰？｣

Aが唐突に聞いてきた。

俺の後ろにいるのは実の妹の竈門禰豆子だ。
普通に紹介すればいいのだが、正直怖かった。

鬼の禰豆子をAが受け入れてくれるかがだ。

もし、Aが禰豆子に恐怖の表情を浮かべていたら、きっと俺は耐えきれないだろう。


だから、Aに聞いた。


禰豆子と俺のこと怖い？と。


すると、彼女は俺の予想を裏切った温かい言葉をくれた。

『全然怖くない』
『私にとって人と鬼は同等の存在』
『炭治郎達のこと信じたいって思った』


その言葉で、今まで溜め込んでいた不安な気持ちと一緒にたくさんの涙が溢れた。


この女の子はなんて嬉しいことを言ってくれるのだろう。



涙がポロポロと溢れる度に、俺の心は温かくなっていく。

こんなに嬉しい涙を流したのは初めてだ。


何より嬉しかったのは、Aの匂い。
俺達に向けて、優しく、温かい、信頼の匂いを放っていた。


Aといると……心がすごく温かくなるんだ。


Aは、止まらない俺の涙をハンカチで拭って、笑みを浮かべた。



真っ直ぐで、優しい、可愛らしい笑顔。


俺の胸はまたドキッと鳴った。

Aは小さな手を伸ばし、俺に握手を求めている。

この気持ちは＿＿＿＿


俺はAが差し出した手を強く握った。


｢こちらこそよろしく、A｣




恋……だな。

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