ピース〔３〕

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どうして……。




涼太「A？」


「えっ…。」


涼太「大丈夫？」


「…。」


涼太「泣かないの。」


「えっ…。」




涼太に抱きしめられて気付いた。


私…泣いてたんだ。




「りょ…た…泣」


涼太「ふふっ。うん。」



私はずるい。


涼太の優しさに甘えてる。




本当は、亜嵐くんに


ジグソーパズルを返そうと思ったのに…。



返せなかった。




聞きたくなかった…。



亜嵐くんのあの言葉…。



『俺、中学の頃からずっと想ってる人いるから。
別れても、その子に彼氏が出来ても…
俺、その子一筋なんだよね。
だから、君がダメとかじゃなくて…
俺があの子しかダメなんだ。』






聞きたくなかった…。


そしたら、ジグソーパズルを返せたのに…。





嫌いになんてなれない。



でも…返さなきゃいけないのに…。





先に帰っていいと言ったのに


残ってくれていた涼太。



なんで…なんでそんなに優しくするの？



いっそのこと、冷たくしてよ。



そしたら…私……。



「ごめん。涼太…ごめん。」


涼太「うん。」




亜嵐くんの切なそうな顔…


涼太の優しく微笑んでる顔…






私…やっぱり…


…涼太…ごめん。




「…もう大丈夫。」


涼太「そっ？」


「うん。ごめん。」


涼太「あの男への気持ちの方が強くなった？」


「…。」


涼太「ふっ。いいよ。
俺は無理して頑張るAが嫌い。
素直に着飾らないAが好き。
正直に言っていいよ。」





「…ごめん。」




涼太「…。」




「ごめん。今…わかんない。もう…わかんない。」


涼太「そっか。」


「…。」


涼太「ゆっくり整理したらいいよ。
俺はずっと待ってるから。」


「…うん。」


涼太「…さっ、帰ろ。」


「うん。」


涼太「ふふっ。先帰ってろって言ったんだけど！
って怒られなくて良かった。」


「…怒らないよ…待っててくれてありがと。」


涼太「ふふっ。素直でよろしい。」


「うざっ。」


涼太「ふふっ。それも素直でよろしい。」


「ふふっ。あっそ。」




優しくしてくれる涼太が好き。


萩花たちの前よりも、多分涼太の前の方が、


素直でいられる。分かってる。



でも…亜嵐くんを見ると


胸がキュンと締め付けられるほど苦しい。



切ない顔じゃなくて


笑顔の亜嵐くんを見たいと思ってしまう。




私は…ずるい。

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