すぐそばに君はいた −13−

622 彰吾side ページ22

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彰吾side



健太がいきなり別れようとAに告げた。


固まるAから逃げるように


楽屋を出て行った健太の後を追った。




彰吾「ちょ、健太！どした？」


健太「別に。」


陣「別にって…。あれはさすがにないやろ。」


健太「…。」


彰吾「ちょ、詳しく教えて。マジで。」


健太「…。」




いきなり何が起きた？何があった？意味がわかんない。




話を聞きたくて声をかけても帰ると一点張りの健太。


無理やり陣さんの家に連れて行った。




陣「急やから散らかってるけど。」


彰吾「むしろすみません。陣さんの家で。」


陣「別にええけど。」


健太「…。」




終始無言を貫く健太を見て、自然とため息が漏れた。




彰吾「で？何があったの？」


健太「…俺じゃ、あいつのこと守れないから。」


彰吾「何？それはあのストーカー事件の話？それならさ、」


健太「違う。そうじゃない。」


彰吾「じゃあ何？」



健太「………俺より樹の方があいつに合ってる。」


彰吾「はっ？それ本気で言ってる？」


健太「…。」


陣「何隠してんねん？本人に言わへんから言うてみ？
なっ？いっちゃんの方が合ってるとか、
んな今更何言うてんの？」


健太「……もうわかんないんだよ。」


彰吾「何が？」


健太「俺のせいで、Aを苦しませたくない…。」




健太が何を言ってるのか、


俺も陣さんもさっぱり分からなくて…。




色々と話を聞いて…俺も陣さんも頭を抱えてしまった。




Aが大好きなお兄さんから、


別れてくれと言われたと。



あいつが今まで培ってきた努力が


健太と付き合ってることで


台無しになってしまうと説得されたらしい。




今回、ストーカー事件で


あいつのメンタルが崩壊したのは確かで…


それを誰よりも理解してるお兄さんから


そんなこと言われたら……




彰吾「いや、でもさ、
今のAには健太が必要なのは絶対じゃん？」


健太「別に、それは彼氏としてじゃなくて
メンバーとしてでも成り立つし。」


彰吾「いや、違うじゃん？
それとこれとは違うじゃん？わかる？」


健太「…。」


陣「あいつの心の支えはいっちゃんやなくて
健太なんは分かっとるやろ？
それが健太にとっては重荷なん？」


健太「別に。」

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