すぐそばに君はいた −13−

635 健太side ページ35

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健太side



陣「なぁ健太。」


健太「はい。」


陣「どうする？
勇征が本気でAにアプローチしたら。」


健太「…。」



移動車に乗り込み、スマホをいじってる陣さんに、


どうする？と質問され…何も答えられなかった。


俺にはそんな権利ないから。


陣「ほんで、付き合うことになりましたってなったら。」


健太「…別にいいんじゃないっすか？」


陣「…。」


健太「あいつが好きなら別に。
メンバーとして、応援しますよ。」


陣「……そうか…。」


健太「…。」




ちゃんとけじめつけないとな…。


あいつも前に進めなくなるから。




自分の家に着いて、着替えてフロアを下りた。




インターフォンを鳴らすと、


ガチャっと玄関のドアの鍵が開いた。




ゆっくりと開いたドアから顔を覗かせたA…。




「…何かありました？」


健太「自分の荷物、取りに来た。」


「……どうぞ。」


健太「うん。」





久しぶりに入ったAの家。



相変わらずキレイにしてて、


懐かしい匂いに、ここはAの家なんだよなと


当たり前のことを感じた。




「なんか、入れる袋とか持ってきました？」


健太「いや、何も。」


「じゃあ、これ使ってください。」


健太「ん。」




渡された紙袋に、


自分のモノを入れてる俺をずっと見てるA。



視線を感じてたけど、そっちを見ないようにしてた。




「あの、健太さん。」


健太「ん？」


「…私、なんで…あの、何が…その……」


健太「Aは悪くないから。」


「……じゃあ、他に好きな人が出来たとかですか？」


健太「いや。」


「じゃあ……健太さんのこと、
好きでいてもいいですか？」


健太「…。」


「というか、そんな急に
嫌いになることなんて無理です。」


健太「…。」


「わがままですみません。
でも、私…大好きですから。健太さんのこと。
これからも…大好きです。」





俺の方を見て話すAに1度も目合わせず、


何も言わずにAの家を出た。





健太「はぁ…。」

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