あなた色に染まる〔５〕

244 龍友side ページ44

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樹杏「……やりましたよ。」


龍友「それやったら…今から最低なこと言うで？」


樹杏「…。」


龍友「なかったことにしてくれへんかな？」


樹杏「無理です。」


龍友「…酔った勢いで抱くような
最低な男なんやったら、
樹杏には相応しくないで？」


樹杏「私は…龍友先輩がいいんです。」


龍友「…。」


樹杏「覚えてなくても…いいんです。」


龍友「…。」





はぁ…結局…ふりだしに戻る…。



ちゃうねん。頼むから僕のことを嫌ってくれ。



一層の事…


ヤリ捨てされましたって先輩に言うてもええわ。



先輩になんと言われようと、気にせーへんから。



それでこの無駄な時間を無くせるんやったら…


頼むから言うてくれ。





頼むから…僕を自由にさせてくれ。






龍友「じゃ、ここで。」


樹杏「龍友先輩。」


龍友「ん？」




樹杏「…キス…してください。」



龍友「えっ………。」




僕の制服の裾を掴んで僕の目を見る樹杏。



多分…普通の男やったら


即行ぶちゅーって行っとる。




でも…。



龍友「ごめん。出来へんわ。」


樹杏「…。」


龍友「ほなまた明日。おやすみなさい。」



樹杏「……おやすみなさい。」





樹杏を見送って自分の家に帰った。



部屋に居ると…隣のAの家に行きたくなる。



ベランダに出てAの部屋を覗く…。


電気は付いてる。



ほんまは今すぐ


この柵を乗り越えて行きたいのに…。



早く…どうにかせんと…。




静かに窓を閉めて自分のベッドに横になった。




A…。愛してるのはお前だけやから…。

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