声が枯れるまで叫びたい [３]

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亜嵐side



本当は薄々気付いてた。


小学生の時、


お父さんがいつも頭を抱えて


ため息をついていた。


その時には、もう…


会社の経営はやばかったんだと思う。


五十嵐家に頼み込んでいた頃なんだろう。




でも認めたくなかった。


お父さんがすごい人で


経営破綻するような人じゃない。


憧れの人だったから。




それが、急に五十嵐財閥の子会社になって…。


お父さんは社長じゃなくなった。


それと同時に住んでいた家も売り…


こじんまりとしたマンションに引っ越した。




生活が変わった…。


でもお父さんは嫌な顔せずに仕事に行っていて、


やっぱりすごいと思った。




親の話を盗み聞きした時がある。


その時、五十嵐財閥がなかったら…って


お父さんが言っていた。


そうか…五十嵐財閥が俺ら家族を狂わせたんだ。



それから五十嵐財閥のことを調べた。


何か弱点があるんじゃないかって。


中学に入る頃、同い年の五十嵐家の娘が


声を失ったという情報を手に入れた。


こいつを苦しめれば…


五十嵐家も嫌な思いをするだろう。


そう確信して、少しでも近づけるように努力した。




実は五十嵐家の娘の顔は知らなかった。


高等部に入って声の出ない子が隣の席になった。



五十嵐…この子だ。そう思ったけど…


俺は…彼女を一目見て惚れてしまった。




何やってんだ俺。って思ったけど…


俺は彼女に釘付けだった。




だから同じように高等部から入ったやつを


悪者役として使った。


でもそいつらを退学じゃなく


停学にする辺りの優しさも…


どんどん好きにさせる要素だった。




でも…俺ら家族を狂わせた五十嵐家は


許してはいけないって頭のどこにあって…。

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