i love u … 《１》

14 翔吾side ページ14

.


匠海「てか、座んないの？」


「匠海、岩谷さんの隣に行ってよ。」


匠海「えぇ？」


「匠海の隣座りたくないし、
岩谷さんの隣は恐れ多いし。だから匠海あっち。」


匠海「はぁ…。やれやれ。わがままな女。」



そう言いながらも自分のグラスを持って立ち上がった匠海が

俺の隣に座った。



匠海「ねっ？本性最悪でしょ？」


翔吾「えっ！？いや…」


「…。」


匠海「変な噂が立つの嫌だから、
極力男の隣には座らないんだってさ。」


翔吾「えっ？」


「あたかも私が悪いみたいな言い方してるけど、
匠海達を守るためでもあるからね？」


匠海「だとしても気にしすぎなんだって。」




デビューして間もない頃に

根も葉もない噂で騒がれたことがあって、

対人関係にものすごく慎重になってることを

匠海が教えてくれた。



匠海「ほんとはこういうやつ。」


翔吾「北ちゃん、真面目って言ってたけど。」


「真面目ですよ？」


匠海「真面目、というかめんどくさい。」


「…。」


翔吾「めっちゃ言うやん。笑」




なんて話してると

店員さんが熊ちゃんの頼んだビールを持って来てくれて、

改めて3人で乾杯した。



不思議な感覚。



目の前に熊ちゃんがいるなんて。




翔吾「あ、何食べます？」


「ありがとうございます。」



メニューを渡すと

何にしようかなとメニューに目を落とした熊ちゃん。



どの角度から見てもキレイな顔。



「何か他に召し上がられますか？」


翔吾「え、あ、そう、ですね…。」


匠海「いや、俺いるんだからその話し方やめろよ。笑」


「匠海は良くても岩谷さんに失礼だから。」


翔吾「別に、大丈夫っすけど。笑」


匠海「ほらぁ。」


「…じゃあ……何か他にお食べになりますか？」


翔吾「いや、あんま変わってない。ふふっ。笑」


「ふふっ。何食べます？」



俺に向けられた笑顔があまりにも眩しくて…

メニューよりも熊ちゃんを見てしまった。




匠海「え？俺には聞いてくれないの？」


「何でも食べるよね？」


匠海「いや、食うけど。」


「じゃあいいね。」


翔吾「ふふっ。」




追加でいくつか食べ物を注文した。




熊ちゃんってこういう人なんや。

15 翔吾side→←13 翔吾side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す