不器用な恋 〈1〉

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無事今日の撮影が終わったけど、


全然Aさんと話せてない。




せっかく同じ空間にいるのに。




話したくてAさんを探したけど


見当たらなかった。



残念な思いで居ると


トントンっと肩を叩かれて振り向くと、



健太「あっちにいるよ。」


翔平「はい？」


健太「お前の探してる人。」


翔平「っ！」




フッと笑って陣さんの所へ行ってしまった健太さん。




健太さんが指さした方へ行くと


物陰に隠れたAさんがいた。




「はい。はい。では22日17時からで
ご予約させていただきます。はい。
会えるの楽しみにしておりますので。
はい。失礼いたします。」




相変わらずお忙しい方だ。




電話が終わったAさんがふと振り向いた。




「あっ、お疲れ様です。」


翔平「忙しいですね。」


「いえいえ。皆さん程じゃないですよ。」


翔平「今日はありがとうございます。」


「いえ、こちらこそ。野外は楽しいですね。
暑いけど。日に焼けちゃいました。」




そう言って袖をまくったAさんの腕は


うっすらと日焼けをしていた。




翔平「…。」



会うと余計好きになる。



この想い…告げたら……。




翔平「…あの、」


「はい。」




佐々木「A！ここに居た。もう行くよ。」


「あ、はい。分かりました。」


翔平「…。」


「えっと、なんでしたっけ？」


翔平「いえ、お疲れ様でした。」


「お疲れ様です。」




ペコっとお辞儀をして


佐々木さんの所へ行ってしまった…。



これでいいんだ。



今、想いを伝えたところで…


困らせるだけなんだから。




ホテルへ向かう移動車内、


AさんにLINEしようか悩んだけど…


結局やめて目を閉じた。

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