不器用な恋 〈1〉

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総勢38人でのMV撮影が始まった。




広々としたところで踊るのは楽しくて仕方ない。



そしてGENEさん、ファンタ、バリがいるこの現場が


楽しくて仕方ない。






撮影は順調に進み、


衣装チェンジで黒のスーツに袖を通した。




身が引き締まる思いだ。





着替えが終わって外に出ると、


Aさんが健太さんと楽しそうにしていた…。




「休憩の時、横になられました？」


健太「はい。」


「ですよね。前髪のこのハネが
無くなってますもん。」


健太「んふふふっ。」


「衣装チェンジしたので
違和感ないのでこのままでいいですかね？」


健太「そんな違います？」


「野外での撮影なので
ありってことにしておきます。」


健太「テキトー。笑」


「ふふっ。冗談です。直しますね。」





健太さんの髪の毛を触りながら


楽しそうに話してるAさん。




絵になる二人から目を逸らした。




お仕事だとわかっているのに…。







壱馬「翔平っ！笑」




名前を呼ばれて振り向くと、


壱馬さんと玲於さんに手招きされて近くに行った。




翔平「はい。」


壱馬「今、Aさんの話になったから。」


翔平「えっ？」


壱馬「こいつ、Aさんのこと好きなんすよ。笑」


翔平「ちょっ！」


玲於「ふーん。笑」




ニヤニヤしてる壱馬さんが


玲於さんに俺の恋路をバラした。




やめてくださいよー。お恥ずかしい。




玲於「年上だよね？」


翔平「えぇまぁ。」


壱馬「俺の4つ上っすね。」


玲於「というと…龍友くんと同い年？」


壱馬「…なんすかね？」




お前年上が好きなんだって笑ってる玲於さんに


冗談の一つや二つ言いたいけど浮かばなかった。

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