不器用な恋 〈1〉

020 ページ20

.


「お酒好きですか？」


翔平「えぇ…まぁたしなむ程度なら。」


「じゃあ、あまり好きじゃないかな？」


翔平「Aさんはお酒よく飲まれるんですか？」


「そうですねぇ。たしなむ程度に。」


翔平「っ！一緒じゃないっすかぁー。笑」


「ふふっ。そんなにお酒強くないです。」





Aさんと独り占めして居られるなんて、


なんという幸せな時間なんだ。




でも、


はい、終わりました。とAさん。



スピーディー且つ丁寧だからこそ…


あっという間に


メイクもヘアセットも終わってしまう…。





「はい。これなんですけど、
良かったら食べてみてください。」


翔平「えっ？いいんですか？」




また、キレイな箱のチョコを渡されてしまった。




「どうぞ。でもお酒入ってるんで
収録終わってから食べてくださいね？」


翔平「もちろんですよ！」


「ふふっ。では収録頑張ってください。」


翔平「ありがとうございます。」




お礼を言うと、


失礼しましたって楽屋を出ていったAさん。




Aさんが居たのを感じさせる柔らかい残り香。




…やっぱり好きだ。





Aさんから頂いたチョコを


写真撮って陣さんに自慢のLINEをした。




陣 “ 毎回貰ってばっかやなくて、お礼しないとな ”




ごもっともでございます。



何かお返しを考えないと。





.




撮影が終わり、


マネージャーさんの車に乗って


自宅まで送ってもらった。




家に入って真っ先に、頂いたチョコを1つ食べた。



口いっぱいにお酒とチョコが広がる。




翔平「美味っ。」




1人なのに声を発してしまった。




永遠と食べれる気がしたけど、


もったいなくて2粒食べてやめた。




今度会ったらお礼を言おう。




何かAさんの好きなものでも買って渡そう。

021→←019

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す