不器用な恋 〈1〉

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楽屋入りするメンバーみんなが


Aさんの髪型を見て同じ反応をしてた。




壱馬「バッサリ切りましたね。」


「はい。ふふっ。」


慎「こっちの髪型も似合ってますね。」


「ありがとうございます。」




まこのように、ワタクシも


冗談ではなく率直な感想を伝えればよかった。



俺としたことが……。




メンバーの仲がいい故に、


些細な情報はすぐに知れ渡る。




北人「Aさん別れたらしいじゃん。」


翔平「えぇ。そのようですね。」


北人「チャンスじゃん。」


翔平「いえいえ、そんなぁ。」




まだ未練はある。


会う度にお綺麗な方だなと思うし見てしまう。




でも…5つ上の彼女は簡単に言えば高嶺の花だ。





メンバー全員のヘアメイクが終わって、


片付けをして楽屋から


出ていこうとしているAさんに声をかけた。




翔平「あの、さっきほどはとんだご無礼、
お許しください。」


「えっ？」


翔平「いえ、」


「ふふっ。全然気にしてないですよ？」


翔平「すみませんでした。」


「いえいえ。本当に大丈夫ですので、
気になさらないでください。」


翔平「あ、あの…凄く似合ってます。」


「ありがとうございます。」


翔平「…。」





ペコッとお辞儀をして


佐々木さん達の元へ行ってしまったAさん。




本当に気にしてないといいですけど…。




陣「翔平ってほんまに
Aさんの前になると真面目やな。笑」


翔平「えぇー、この度は、
度重なる失態を犯してしまいましたので、
えぇー、きちんと謝罪した所存でございます。」


陸「ふはははっ。
本当にさ、自分を見失う話し方止めて。笑」


翔平「いえいえ。
この喋り方は至って普通でございます。」


陣「ほな、Aさんにも
そういう喋り方してみろや。笑」


翔平「えぇー、それは無理難題でございます。」




普通に話すことも冗談も言えても、


こんなふうにふざけて


Aさんと話すことは出来ない。

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