不器用な恋 〈1〉

015 ページ15

.


彰吾「Aさんって彼氏いるんすか？」


「えっ？」




Aさんに


ヘアセットしてもらってる やましょさんが


ぶっ込んだ質問をした。





近くでスマホをいじっていたワタクシの耳は


これでもかってくらいダンボになった。






「いますよ。」






翔平「…。」






終わった。





浦川翔平 2020年 春




一目惚れという桜がヒラヒラと儚く散った…。





彰吾「へぇーいるんすね。どんな人なんですか？」




掘るな、掘るな、掘るな！



そんな話聞きとうない！





「高校の時の同級生です。」


彰吾「高校の時から付き合ってるんすか？
めっちゃ長いじゃないですか。」


「いえ。成人式の時に再会して
そこから付き合い始めました。」


彰吾「えっ？だとしても長いっすよね？」


「まぁそうですね。
7年…あともう少しで8年ですね。」


彰吾「ちなみに、結婚とかは？」


「んーどうなんでしょうね？
プロポーズされたら…ですかね。ふふっ。」


彰吾「…へぇ……。」




プロポーズ…待ち……。




終わった。本当におしまいだ。





翔平「…。」




ネットパトロールしてた手が止まっていたからか、


壱馬さんに肩をポンッと叩かれた。




翔平「…な、なんでしょうか？」


壱馬「顔。笑」


翔平「っ…あははは、は……。」




眉間にシワでも寄っていたのだろう。



笑って誤魔化した。





セットの終わったやましょさんが


俺のところに来て、わりぃって謝ってきた。




謝ることなど何もしてないのに。





そりゃ…あんなにも素敵な人ですから。



お相手の1人や２人いてもおかしくないのに。





それなのに…落ち込むな浦川翔平っ！

016→←014

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す