不器用な恋 〈1〉

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2020年春、全 浦川翔平が震撼した。




彼女の笑顔にノックアウトされたのだ。




これはまさに、俗に言う……



ひとめぼれ





お米の種類ではない。



一目惚れ…。




翔平「よ、よろしくお願いします。」





椅子に座ったけど、数ミリ宙に浮いている気がする。



落ち着かない…。




佐々木「相変わらず寝癖凄いっすね。笑」


翔平「あ、へっ？あ、はい。まぁ……はい。」




忘れてた。



セットしてもらえるからいいやと思って


気にもしてなかった寝癖。




そんな姿を…お恥ずかしい。




陣「おはようございまーす。」




佐々木さんと話していると


メイクルームに現れた陣さん。




お願いしますってあっさりと席に座った彼は


強靭な心臓の持ち主なのか？





佐々木「こいつ新しく担当する佐々木Aです。
よろしくお願いしますね。」


陣「よろしくお願いしまーす。」


「初めまして。よろしくお願いします。」




あっさりなご挨拶ですこと。




陣「佐々木さんが2人になりましたね。」


佐々木「そうなんすよ。」


陣「ご夫婦とか？」


翔平「っ！」


佐々木「血縁関係でも夫婦でもありません。
ただの後輩です。」


陣「そうなんですね。」


「ふふっ。毎回佐々木さんと
お仕事一緒になると聞かれます。」





ホッとした。



左手の薬指を確認したくらいだ。



良かった…何もついていない。





佐々木「こいつはAって呼んでください。
ややこしくなるから、
いつも一緒に働くとそうなんで。」


陣「分かりました。」




そう言って彼女に気にもとめない陣さんは


スマホをいじり始めた。



よくもまぁこんな素敵な人を前にして


平然とスマホをいじれますね。




考えられない。

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