すぐそばに君はいた −5−

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「寮のあの日以来ですね。」


健太「あーそんな日もあったね。」



北人さんに無理やり腕を引っ張られて


部屋に連れて行かれたあの日。



あの頃から健太さんは


私にすごい優しくしてくれてた。




「おやすみなさい。」


健太「…。」


「…ん？笑」



視線を感じる気がして健太さんの方を見ると


睨まれてた。



「…えっ？笑」




健太「A食べたいってさっき言ったんだけど？」


「あれ？そんなこと言ってました？」


健太「…。」




誤魔化すと、


じゃあいいってそっぽを向いた健太さん。




「ねぇ健太さん。」


健太「…。」




近づいて背中に身体を寄せて、腕を回した。



「私ね、こうやって健太さんとくっついただけで
すごいドキドキするんですよ。」


健太「…。」


「それほど好きで、怖いんです。好きすぎて、
自分がおかしくなるんじゃないかって。」


健太「…。」




私が話してる間、


何も言わなかった健太さんが


お腹に回っている私の手を掴んだ。




そして、その手を健太さんの胸に当てられた。




健太「俺もドキドキしてんの分かる？」


「……わかんない。笑」


健太「いや、分かってよ。笑」


「ふふっ。」



気付いてた。


背中から感じる鼓動が私と同じくらい速いことを。



もぞもぞと動き始めた健太さんが


私の方に体勢を変えた。



健太「おかしくなっちゃえばいいじゃん。」


「えっ、ちょ、健太さ、んっ………」




ずるいなぁ健太さんは。


こうやって私をいっぱいにするんだから。




優しくキスを落としてくれる度に愛を感じて、


抑えられない漏れる声に健太さんがニヤッと笑った。




まさかこんな日が来るなんて、


誰が想像してただろう。




まさか健太さんと



ひとつに繋がる日が来るなんて…。





さっきまでの出来事が恥ずかしくて


健太さんに背を向けた。



健太「ふふっ。」


「……今日ですよね？」


健太「何が？」


「付き合ったの。」


健太「うん。えっ？」


「なのに、付き合った日に…
付き合ったばかりなのに…。」


健太「ふはははっ。」


「笑い事じゃありませんよ！」




笑われたから、


ちょっとムッとして健太さんの方を見た。



健太「俺ずっと我慢してたんだからね？」


「…。」


健太「こうなる日を待ってた。」



そう言って優しくキスをしてくれた。



健太「おやすみ。」


「おやすみなさい。」




健太さんに抱きしめられて眠りについた。

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