信じてもいいですか？ [１]

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緊急手術が必要な患者が救急搬送されてきて、

先輩に教わりながら対応していたら、

時間があっという間に過ぎていった。




急いで待ち合わせの場所へ向かった。



案内された個室に入ると3人が一斉にこっちを見た。



「遅くなってすみません。」



ペコッと頭を下げると、

待ってたよーって笑顔の奈緒に言われて

空いている席に座った。


もちろん樹くんの隣の席。



樹「お疲れ様。」


「すみません。遅くなって。」



樹くんにお疲れ様と言われて、


疲れていた気持ちが少しだけ楽になった気がする。



奈緒「ほら！見てよー！」


「あっ、ちょっと！」



勝手に私のカバンを手に取り、

カバンから数冊の参考書を取り出した奈緒。



奈緒「Aの愛読書。」


「…。」


奈緒「おかげでAのカバン重いの！」




凄いねぇって奈緒の彼氏に言われた。




参考書を奪い取り、カバンにしまった。


やめてよ…恥ずかしい…。



樹「ドクターヘリに乗るのが夢なの？」


「えっ！」



樹くんにいきなり聞かれたことに驚いて

奈緒を見ると、ニコッと笑われた。


勝手に言ったな…。



コードブルーがあったことで、

山Pに憧れたの？とかいつも言われて、

バカにされてるとしか思えないから

言いたくなかったのに…。




「…うん。まぁ。」


樹「カッコイイね。」


「ありがとうございます。」



仕事しか頭にないといつも言われ続け、

否定も出来ない仕事人間な私の夢。



カッコイイ人にカッコイイねと言われても…。





奈緒「てかA、樹くん同い年だよ？」


「うん。知ってるよ。」


奈緒「じゃあ何で敬語なの？」


「…なんでって…。」


奈緒「タメでいいよね？」


樹「別にいいよ。」


「…。」



ここにいる4人は同い年なのは分かってる。


でも…この前も奈緒の彼氏にも敬語で話してるし、


まだ会ったばかりの人に

そんなすぐにフランクに行けないよ。

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