信じてもいいですか？ [１]

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気をつかっているのか、

モグモグとたくさん作ったおかずを

食べてくれる樹くん。



舌の肥えてる芸能人に、

こんな庶民の味は美味しくないと思うけど。




樹「ごちそうさまでした。」


「はい。」



ペロッと平らげた樹くん。



美味しかったってまた言われて、

どうもって返事をして皿をキッチンに持っていった。




「…で、なんで来たの？」



食器を洗いながら聞いた。


本当は来た時に聞きたかったけど、

私もお腹空いてたし、

まずは胃に何かを入れたかった。




樹「ん？たまたま。」


「…。」



2回しか会ったことのない男を

家にあげる自分もどうかしてるけど、


たまたまと言って知らない女の家に

あがる樹くんもどうかしてると思う。



樹「今日休みだったの？」


「夜勤明け。」


樹「夜勤明け？」


「そう。昨日の17時から今日の朝9時までの勤務。
って言っても実際は勤務時間より早く行くし、
遅く帰ってくるけど。」


樹「へぇー。夜勤大変？」


「看護師の人数も少なくなるし、
大変といえば大変だけど。」


樹「その時間ぶっ通しで働いてるの？」


「一応、仮眠時間2時間はあるけどね。
昨日は忙しくて寝てないしご飯も食べれなかった。」


樹「大変だね。」


「でも芸能界のお仕事も大変なんじゃないの？」


樹「まぁ…同じようなもんじゃない？」


「休み無しでしょ？」


樹「そんな事ないよ。」



初めてかもしれない。


こんなに樹くんと話したの。



話す時は話す人なんだ。



無口な人だと思ってた。



いや、猫の話で少しは話したか。



「休みもないお仕事なんだから、
家に帰ってゆっくり休んだら？」


樹「あれ？帰そうとしてる？笑」


「うん。」


樹「ふふっ。素直だね。笑」


「…。」




誘導失敗した…。

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