信じてもいいですか？ [１]

005 樹side ページ5

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樹side



ではって頭をペコッと下げて

歩き出したAちゃんがいきなり立ち止まった。




どしたんだろ？って思って見ていると、

踵を返してこっちへ来た。




樹「どしたの？」


「いや、何でもないです。では。」


樹「…？」



何でもないと言って、

出たばかりの店の中へ入って行った。




何かあったのだろうか？



気になり俺も店の中に入った。




「あの、携帯…落ちてませんでしたか？」


店員「少々お待ちください。確認してまいります。」


「すみません。」





樹「携帯落としたの？」


「っ！！」


樹「ん？」



後ろから話しかけると、

ビクッて驚いて俺の方を振り向いたAちゃん。



「えっ…なんでいるんですか？」


樹「気になったから。」


「…。」


樹「で？携帯落としたの？」


「…多分。カバンにも入ってなかったので。」


樹「鳴らしてみようか？」


「えっ？いやいや。大丈夫です。」


樹「でも、」


「本当に大丈夫ですから。帰ってください。」


樹「…。」



鳴らしてみようか？

ってポケットから携帯を取り出したのに、

大丈夫ですって言い張るAちゃん。



そんなに頑なに断らなくてもいいのに。




店員「確認したけどありませんでした。」


「そうですか。お騒がせしました。」


店員「もし見つかったら、
本日予約されました連絡先に電話致しますので。」


「ありがとうございます。すみません。」



店員にお辞儀をしたAちゃんと一緒に店を出た。





「すみません。付き合っていただいて。」


樹「いや、別に。
それより電話鳴らしてみなくて大丈夫？」


「大丈夫です。」


樹「…。」

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