信じてもいいですか？ [１]

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「い、家本当に近いんだね。」


樹「うん。」



な、何か話さなきゃって思って、

つい家のことを聞いてしまった。



聞いてほしくないだろう内容なのに…。



恥ずかしさを誤魔化すために話すとか…

私らしくない。




樹「歩いて10分もかからなかった。」


「そんなに近いんだ。」


樹「うん。」


「…。」



どこに住んでるかなんて知られたくないだろうから

この話は終わりにしないと。




「…ん？あれ？」


樹「何？」


「今日香水の匂いがしない。」


樹「よく分かったね。」


「鼻いいから。」


樹「風呂入ってきたから付けてない。」


「ふーん。」


樹「付けてきた方が良かった？」


「別に。」


樹「ふふっ。そっか。」



お風呂に入ったあとに

外に出るなんて億劫じゃないのかな？



あとは寝るだけだったんじゃないの？



.




時計を見ると1時40分だった。


帰らないのかな？って思って


隣をチラッと見ると


腕を組んで今にも目が閉じそうな感じで


コクンっと揺れていた。




「…明日仕事は？」



話しかけると少し目が開いた樹くん。



樹「…リハ。あとトレーニング。」


「じゃあ帰って寝たら？眠たいんでしょ？」


樹「うん。」



ちょっとなら良いってLINEしたはずだ。



もう、ちょっとという時間はとっくに過ぎてる。




もう夜も遅いし…帰らないのかな？


寝ないと仕事に支障をきたすよ？




樹「泊まってっていい？」


「はっ？！」




何を言い出すかと思えば。


驚いて、樹くんの方を見ると、

ダメ？って首を傾げられた。



目が半分くらい閉じている…。




いやいやダメでしょ。



本当にこの人チャラいんだな。




樹「ふふっ……。」



こっちを見てから微笑んで目を閉じてしまったよ…。




「ねぇちょっと…はぁ……。」





夜遅くなのに、ちょっとなら良いと言ったのは私だ。



この家にあげることを許可した私に責任がある。

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