［普通］って何？ −2−

86 ページ36

.


明らかに壱馬くんの様子がおかしい。


ムスッとしてて話にも参加しない。




何で？


私なんか悪いことしたかな？



考えてみたけど特に何もしてない…と思う。



映画館でのこと？


んー？えー？なんだろう？



全然分からない。




壱馬くんのことが気になりすぎて、

箸が全然進まなかった…。



家に帰ってきてからも

1人無言のまま2階に上がっちゃったし…




「私なんかしたかな？」


北人「んー……。」


「…。」



北ちゃんが返答に悩んでるってことは

きっと私に問題があるんだ…。



どうしよう…

このまま壱馬くんの機嫌が悪いのは嫌だ…。




壱馬くんがお風呂から上がってくるのを待った。



その間も何をしたか振り返ってみたものの

思い当たる節がなく…


強いて言えば北ちゃんとばかり

話していたかもしれない。



でも、そんなことはいつもの事で、

それに関して怒るとは到底思えない。




色々考えていると、

壱馬くんがお風呂から上がってきた。



「あ、あの…」


壱馬「…。」


「私…なんかした？」


壱馬「別に。」


「…。」




リビングから出ていこうとした壱馬くん。


このまま行っちゃったらもう話が出来ない…。



「待ってよ。なんかしたなら言ってよ。」


壱馬「何でもないって。」


「でも怒ってるよね？」


壱馬「…。」


「私に非があるなら…教えてよ。」


壱馬「じゃあ……
さっき名刺もらった男のところにでも行けば？」


「えっ…。」


北人「ちょ、壱馬くん？」


壱馬「別にいいんじゃない？」


「…。」


壱馬「どうせ俺とは仲良くないんだし。」




「……どういう…意味？」


壱馬「意味も何もないけど。」


「…。」




トゲのある言葉…



今までにない冷たい目……


やばい…泣きそうだ…。



でもここで泣いたらダメ。


ぐっと堪えた。




北人「落ち着いてよ。」


「…。」




壱馬「一つだけ言っとくよ。」


「…何？」


壱馬「お前、男に危機感無さすぎ。」


「…。」


壱馬「映画館で震えるほど怖い思いしたくせに、
道聞かれた知らねぇ男に手を振り返したり、
久しぶりに会った男に抱きついたり、」


「違っ！」


壱馬「俺には触れられるの嫌とか言っておきながら、
あんな男には自分から抱きつきに行くとか、
どうかしてんじゃねーの？」



…何それ……。

87→←85 壱馬side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す