if【ONE PIECE】chapter2 (ページ25)

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side story【with.Shankusu】ページ25

＊出会った頃の話

シャンクス達赤髪海賊団がフーシャ村を拠点にしてすぐのこと

私はいつも通り店の手伝いをしていた

最近は海賊達の宴で店は繁盛っていうか、賑わっているというか最早騒がしいの一言に尽きる

｢おーいAちゃんおかわり貰えるか〜？｣

｢おっ、こっちも追加してくれ〜！｣

船員達が次々と追加注文するもんだから私とマキノは大忙し

｢はいはーい！｣

なんとか追加分を提供して、最後に船長、シャンクスのいるカウンターに酒を届けに行く

｢おかわりいかがでしょうか？｣

｢お、悪ぃな。頂こう｣

とくとく、とグラスに酒を注いで渡す

｢騒がしくてすまんな、うるさいだろう｣

｢いえ、楽しそうでなによりですよ｣

飲んで、食べて、歌ってる様子を見ると、白ひげ海賊団にいた頃を思い出す

戦場こそは出させてもらえなかったが、宴の時は毎回一緒にいたので大人数で騒ぐのは慣れているしむしろ楽しくて好きな方だ

(皆元気かな…)

サッチの料理を一緒に手伝ったり、お父さんとかマルコにお酌しに行ったり
他の兄弟達とも皆で歌って踊ったりして…楽しかった日々
片時も忘れたことはない

(またいつか…ね)

―――

宴もだいぶ盛り上がっている中1人カウンターでグラスの中の酒を飲み干す

空になったそれを置き、ふと周りを見渡すと1人洗い物に勤しんでいる少女が視界に入る

普通の村娘のようだが、年相応ではない雰囲気をまとっているように感じる

つい先程酌をしてくれた時、賑やかな店の様子を眺めて微笑んでいる姿は心做しか別の何かと重ねているようで、切なさをまとっていた

彼女を見ているとどことなく誰かに似ているような気がしてならない

(誰だったかな…)

｢どうしたんですか？｣

｢！｣

ぼーっと考えているとさっきから何となく気になる彼女の顔が目の前にあった

｢私の顔に何かついてます？…あ、それともお酒のおかわりですか？｣

｢あ、あぁいや…。そういやAはこの村の生まれじゃないらしいが、出身はどこなんだ？｣

ずっと見つめてしまっていたことを誤魔化すように話題をそらす

｢それは…｣

聞いてはいけない内容だったのか、うつむいてしまったA

｢…あぁ、言いたくないなら…｣

｢海です。穏やかな、優しい海｣

そう言う彼女の表情は愛おしいものを見るように柔らかく、温かで思わず胸をくすぐられる

｢―――人間みんな海の子ですよ｣

と、微笑む彼女はやはり誰かと重なって見えた

＊