if【ONE PIECE】chapter2 (ページ24)

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episode38 ページ24

―――

あの騒動から約1週間程

空は快晴、東へと潮の香りを乗せて吹く風は心地よく、まさに船出日和の今日

｢――この船出でもうこの町へは帰ってこないって本当！？｣

見送りに来た私とルフィはついさっき知った突然の事に驚いた

｢ああ、随分長い拠点だった。ついにお別れだな、悲しいだろ｣

シャンクスはフーシャ村を見渡しながら言う

｢うん、まあ悲しいけどね。もう連れてけなんて言わねえよ！自分でなる事にしたんだ海賊には｣

ルフィは何か吹っ切れたかのように清々しく言う

(成長したんだね…)

｢どうせ連れてってやんねーよー。お前なんかが海賊になれるか！！｣

べーっと舌を出して小馬鹿にしながらシャンクスは言う

｢なる！！！俺はいつかこの一味にも負けない仲間を集めて！！世界一の財宝を見つけて！！！

海賊王になってやる！！！｣

｢ほう…俺達を超えるのか……じゃあ｣

シャンクスは自分が被っている麦わら帽子を取りながらルフィの近くきて、それをルフィへと被せた

｢！｣

｢――この帽子をお前に預ける

俺の大切な帽子だ

いつかきっと返しにこい

立派な海賊になってな――｣

ルフィは我慢していたのだろう、涙が溢れていた

つられて私も泣きそうになる

気づくとシャンクスは今度は私の前にきていた

｢A｣

｢…？｣

｢お前が抱えてるものがどんなものかは知らんが…大事なのは自分の気持ちだぞ｣

｢っ！｣

彼は気づいている

私が何かを隠していることに

それが重い事だということも

｢Aは将来美人になるんだろうなー俺がもらってやろうか？｣

さっきの真剣な表情と打って変わって彼は変なことを言い出した

｢は！？｣

この男は突然なんてことを言い出すんだ

向こうは10歳児に冗談で言ってるつもりだけど、こちとら転生前合わせたらもう三十路なんですけど！！？

恥ずかしさで熱くなる顔を抑える

｢Aー？どしたー？｣

｢ろ、ロリコン！！｣

冗談でも女にそんな事言うな馬鹿野郎！！！

―――

そんなこんなで出航準備が整った

｢錨を上げろぉ！！帆を張れ！！出発だ！！！｣

シャンクスの合図でレッドフォース号が進み出す

｢また会おう！！！｣

フーシャ村の皆で手を振る

(いつかまた…会えるよね)

私とルフィは船が見えなくなるまで広大な海を眺めていた

隣にいるルフィを横目に見る

涙を拭い、麦わら帽子を大切に抱えていた

(…10年後が楽しみだね)

――物語はまだ始まったばかり――