if【ONE PIECE】chapter2 (ページ15)

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episode29 ページ15

―――

｢――はぁっ！｣

無我夢中で短剣を振り風を切る

本当は太刀とかの方が扱いやすくて好んでいるのがそれは母、サラと一緒にいる時までであって、それからはもちろん武器なんて持っていなかったので、ガープに頼んでせめて、とお願いするとこの短剣をもらった

"｢Aちゃんにはまだ早い、もう少し成長したら、また長いのをやろう！｣"

との事だ

(ないよりはマシか…それに扱える物は全てこなしておいたほうが後で使えるかも)

それにしても1人で修行なんて孤独で仕方ない

モビー・ディック号にいる時は父を筆頭に最強の兄達がいたし

船を降りた後は優しくて逞しい母がいて…

｢…お母さん｣

そうだ、私はいつだって誰かが傍にいてくれた

今は確かに1人だけど、ガープだって帰ってきたら嫌という程みっちり鍛えてくれる

｢…泣き言なんて、絶対に言わない、言ってられない｣

強く、ならなきゃ

この手で守れるように

もう二度と、大切なものを失わないように

｢強く！なるんだ！！｣

―――

4時間程経っていたのだろうか、真上にあったはずの太陽はだんだんと東へと傾き、空をうっすら茜色に染めつつあった

｢はぁ…はぁ…｣

そろそろ帰らなければならない、遅くなったらマキノも心配するし、なにより夜の山は昼より危険だからだ

｢また明日来よう｣

短剣を握りしめ、村へと走る

"―――"

｢――ん？｣

(なにか…視線を感じる)

周りを見渡しても誰もいない

(見聞色で…って言っても今の私じゃ完璧には使いこなせない)

嫌な予感、という程のものではない

危険ではないと判断し、念の為、いつでも戦えるように身構えながら村へと急いだ

―――

結局あの視線の正体はわからず、無事にフーシャ村へとたどり着いた

｢おー！Aー！おめぇどこにいってたんだよぉー！｣

ルフィが走って駆け寄ってくる

｢ちょっと山でお散歩してたんだよ｣

のんきに散歩なんて出来る道じゃないけどね

｢なぁA、俺なりたいもの決まったぞ！海賊になるんだ！｣

｢…っ！｣

夢と希望を抱き、自信を持ったような表情で宣言した

ルフィの目は今まさに冒険を夢見ているようで、きらきらと輝いている

これからいろんな出会いをして、そして別れを繰り返して、いろんなことに躓き、ぶつかって、勝ち取っていく未来が待っている

(物語のはじまりは近い――――)