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「このグズ! 言われたこともできないの!?」
けたたましい音を轟かせながら、床に叩きつけられた皿が砕ける。
その音に驚かなかった自分を密かに褒めながら、僕はひれ伏し頭を下げる。
「ごめんなさい。もう一度、やり直します」
「……あぁああもうイライラする! その舐めた態度ムカつくのよ!」
土下座のどこが舐めた態度なのだろう。
僕の疑問は知る由もなく、母は僕の頭を足で踏みつけた。
床に押し当てられた額が痛い。
「あんたさえ……いなければ……」
頭上で震えた声がする。
強い憎しみ、わずかな葛藤。
そんな声音は、間もなく金切り声に変わった。
「あんたさえいなければ、あたしはこんな不幸になんてならなかった! ……あんたなんか、産まなきゃよかった!!」
髪を掴まれ、引っ張り上げられる。
そらるに撫でてもらった大切な髪に、そんな乱暴は止めてほしい。
「何、その目」
そらるのことを考えてうっかり緩んでしまった目が、鋭い視線に貫かれる。
すかさず平手打ちが飛んできた。
反動で壁に頭をぶつけ、それを見ていた母は腹を抱えて笑いだす。
「あはははっ! 良い格好!」
痙攣する手で頬を押さえる。体勢を崩した時に、皿の破片が膝に刺さってしまった。
「……ごめんなさい」
母は面白くなさそうに、僕の肩を力一杯蹴りつけた。
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作者名:マミカ | 作成日時:2019年11月3日 16時