《銀魂》壬生の狼と一緒に。 (ページ32)

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◇第三十二条ページ32

勲さんがわたし用にと買ってくれた、銀色のコンパクトミラー。まん丸とした表面には、淡い色の小さな花たちがキラキラと光輝いている。

体の包帯をくるくるとゆっくり解き、手に取ったミラーで傷跡を映しながら、指先で優しく患部に触れた。

この前の事が合ってからというものの、絶対安静と勲さんに言われてしまい、もう2週間近く外に出ていない。

暇で暇で仕方のない私は、1人で屯所内をうろうろする事しか出来ず……。

今ではすっかり、屯所内の地理に詳しくなってしまった。

「……暇だなぁ」

包帯を巻き直し、ひとりでにつぶやく。

勲さんや土方さん、もしくは沖田さんの誰か1人でも非番で屯所内にいてくれたら。

部屋の襖を開けてすぅ……と、新鮮な空気を体いっぱいに取り込む。しばらく空をじっと眺めていると、頭の中である1人の隊員の顔が浮かんだ。

その人は、太陽みたいに明るい色をしたオレンジ色のアフロが特徴的で、とっても無口な人。

食堂で何度か姿を見かけることはあったけれど、いつも1人でいるせいか少しだけ話しづらいオーラを纏っている。
そして、誰かと話している姿をまだ一度も見たことがない。

土方さんが昨日の夜に話していた非番のメンバーの中に、彼の名前が入っていたことを思い出し、私は覚悟を決める。

「……邪魔だったら戻って来ればいいよね、うん」

もしかしたら……ずっと気になっていた、フワフワとしたあのアフロに触れるかもしれない。

暇を持て余した私は、ずっと気になっていた斎藤さんに話しかけることにした。