◇第二十八条 ページ28
「ちょちょ、ちょっと神楽ちゃん!せっかく僕が下手に出てルマちゃんを奪い返せたのに、そんな挑発的な態度取らないでくれる!?」
「……はぁ」
沖田さんのため息を背中越しから感じていると、坂田さんが私達へと歩み寄って来る。
「ったく、なんで犬一匹追いかけてきただけなのにこんな面倒くせェ状況に遭遇すんだよ」
迷惑そうな表情を浮かべ、ぽりぽりと頭を掻きながら坂田さんが話すと、それにこたえようと神楽ちゃんが口を開く。
「コイツだけだったら野放しでも良かったけど、Aちゃんがいるとなると話は別ネ」
神楽ちゃんから発せられた「コイツ」とは沖田さんの事なのだろう。
彼を視線で捉え、彼女はそう話した。
「別に、俺一人で何とかならねェ人数ってわけでもねーけど?」
「あーもう、ゴチャゴチャうるさいアル。加勢するって言ってんだから素直に喜べよなァ」
「テメェに心配されるほど俺は落ちぶれちゃいねー」
「誰がオマエの心配なんてするアルか!私が心配してるのはAちゃんだけネ!」
いつの間にか私そっちのけで言い合いを始めている神楽ちゃんと沖田さん。
2人に何て声をかけていいのか戸惑っていると、新八さんが声をかけてくれた。
「あの2人はいつもあんな感じですから、気にしなくて大丈夫ですよ」
「そうそう。なんならあの2人残してさっさとずらかろうぜ、俺達だけで」
さっきまでの緊迫した空気が嘘みたいにゆるくなった現状に、ついにしびれを切らしたのか。
一人の浪士が大声で叫ぶと、周りにいた男達が一斉に刀を振り上げ突入して来た。
___その瞬間。
「……チャッピーを返せェェェェ!!」
「___だから、そのダサいネーミングセンスを」
ルマちゃんを両腕に抱えている新八さん目掛けて刀を振り上げる浪士。
瞬時に移動した神楽ちゃんが持っていた傘をバッドのように持ち変えると___。
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作者名:みさ | 作成日時:2016年7月16日 21時