◇第二十四条 ページ24
「っと、その前に」
「……？」
沖田さんはそう言うと、ほんの一瞬で後ろに振り返り、持っている刀を投げては後ろの木に突き刺した。
「ひっ……！」
すると、その光景を見ていた男が怯えた声を出し、木の合間から顔を覗かせる。
「まずはこのネズミを退治してからじゃないと、アンタが危ないんでね」
私達の後ろに男がいたなんて……全然気づかなかった。
けれど沖田さんは、前から分かっていたようだ。
その落ち着きが、物語っている。
沖田さんがゆっくりと男に近づいていく。
「くそ！なぜバレた……！」
「真選組の後をつけるなんて、随分と命知らずなもんでさァ」
「………何！？真選組だと！？」
男が驚く。
次の瞬間、彼は大きな声で叫び出した。
「真選組だァァァ！！」
「………！」
彼がそう叫ぶと、敵の家の中から続々とガラの悪そうな男達が飛び出してきた。
「怪しい男と女が後を追ってると仲間から連絡が来てなぁ……それがまさか真選組とは！」
男は動揺しながらも、沖田さんに話しかける。
その間にも、私達の周りには着々と大勢の男たちが群がって来ていた。
「やれやれ。こんなにもネズミがいたとはねェ。土方さんなら大喜びしそうだ」
この絶体絶命の状態に、焦りも感じられないトーンで、彼は話す。
「出来ることなら、彼女には見せたくなかったが＿＿」
片足で木を抑え、その反動で突き刺した刀をサッと抜き、
「全員まとめてかかって来い。あっという間に終わらせてやらァ」
無表情で周りの男を見渡しながら、彼はそう言った。
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作者名：みさ | 作成日時：2016年7月16日 21時
