アンナチュラルな葬儀屋さん。

「葬儀屋はモテない」 ページ18

sideA

御遺体に死化粧をするプロも、“こりゃダメだ”と匙を投げた。
首吊り死体、孤独死して発見が遅くなった死体、すぐに引き上げられなかった水死体など、目をおおわざるを得ないご遺体は少なからずある。焼身死体もその中のひとつである。

木「私はミディアムレアが好みですが、こちらはウェルダンも通り越していますねぇ。火葬の時間は短くて済みそうですが。」

雨「棺の蓋を開けてのご挨拶は控えていただきましょう。」



今回の葬儀は、ビル火災で亡くなった方だそうです。古いビルで消火装置がきちんと作動せずに亡くなったため、御遺族も納得がいかないというお話しをされていました。
葬儀が終わり御遺族にご挨拶をさせていただくと、ビル会社に訴訟を起こしたいと相談されました。誰か知っている弁護士はいないかと。

うーん…弁護士…。学生時代の友だちで弁護士になった人はいないし、弁護士と結婚した友だちもいなかったような…。

木「雨宮さん、三澄さんのお母様はいかがですか？」

雨「あぁ、夏代さん！」

私は御遺族に夏代さんのことを伝えた。もっとも、弁護士も訴訟内容に得意不得意があるし、たくさんの案件を抱えていて対応できないと断られる可能性もあるので、とりあえずこちらから相談してみますと。

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