7 ページ8
side木林
車の助手席で放心状態の彼女に、私も言葉が見つからない。
仕事の疲れではなく、今日は心が疲れているのではと思った。
突然、彼女が言葉を紡ぐ。
雨「木林さん…私をこう…抱いててくれてました…?あのとき…。」
木「さぁ…どうでしょう。私も気が動転していたもので。」
彼女に初めて嘘をついた。しっかりと、その温もりと彼女の震える手を覚えている。かけた言葉も。
しかし、彼女が覚えていないのならそれでいい。今日は余計なことを考えさせず、静かに眠らせてあげたい。
不意に、本当に不意に声が出た。
木「Aさん」
雨「へ…?」
木「なんて…名前で呼ぶのもいいのかなぁって思いまして。ほら、うちの社員も葬儀のとき以外では名前で呼んでいるじゃないですか。」
雨「あー…いいですよ、Aで。……私もたまに、南雲さんって呼ばせてもらっていいですか?」
木「えぇ。」
会話はそれ以上は続かなかったが、彼女のマンションに着いて、エントランスまで見送ったときである。
雨「南雲さん、もう一回、ちょっと体を貸してください。」
恥ずかしいとか嬉しいとか、そんな表情はなく、真顔で彼女は言いはなった。
そして次の瞬間。
そっと二人の体が近づいた。
彼女の体に手をまわす。
これ以上、彼女にあの心中の記憶を思い出させないでくださいと、初めて神に祈った。
雨「やっぱり…。」
少しだけ彼女が安心している気がして、私の腕にも力がこもった。
END
324人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まみ(プロフ) - えみさん» 続編やスピンオフを期待しましょう!(笑) (2018年3月24日 22時) (レス) id: f6d9d3c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - sickさん» 木林さん好きなかたですか!?訪問&コメントありがとうございます!私の中の木林さんはこんな感じなので、お気に召していただきましたら幸いです! (2018年3月24日 21時) (レス) id: f6d9d3c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - まみさん» ちょ‥!!まみさんちの木林さん、ちょっと素敵過ぎやしませんか‥!いただいたお返事だけでご飯おかわりできそうです‥(笑)この行き場のない想いをどうしたら、、木林さんに責任取ってほしいです(笑) (2018年3月24日 13時) (レス) id: 0d8c54eb3a (このIDを非表示/違反報告)
sick - 木林さんが格好いいね,,,, (2018年3月24日 13時) (レス) id: 0d66d22dc9 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - うちの木林さんはそういう男です(笑) (2018年3月23日 14時) (レス) id: f6d9d3c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まみ | 作成日時:2018年3月4日 3時