八話 ページ9
「御用改めである!貴方達にもう好きにはさせないわ!」
「…お前みてぇなオンナに俺らがやれると思ってんのか?…お前が負けたら俺のモンになってもらうぜ」
ニヤリと笑った土方くんに私は捕まった。そのまま顔が近づいて…「カットぅ!」
「Aめちゃ可愛いアル!」
「…うわぁぁぁん恥ずかしぃぃい!もうヤダ!土方くんのばか!」
「…なんで俺だよ」
だって、だって!土方くん自分の顔分かってる!?女の子なら好きじゃなくてもドキドキしちゃうよ!?
「…あとなんで俺が悪役なんだよ。姫を奪う剣士役じゃねぇのか?」
「悪に奪われる姫さんネ!正義が悪に捻じ伏せられる設定は最高アル!昼ドラもんネ」
くっ…神楽ちゃんが監督だから指示に従うしかないけど…!
「次は腐れチワワとAのシーンアル!」
「…チッ、なんでこのゴリラ女が監督なんでィ」
私がはは、と苦笑いを浮かべていると沖田くんと目が合った。慌てて逸らすと神楽ちゃんがスタート!と声を張る。
「…姫。貴女が最近東方の男と密会しているという噂を耳にしたのですが…それは本当ですか?」
「…そんなこと、ないです。私には貴方だけ」
「それなら、示してみて下さい。俺のものだって証を」
「…っ、そんな。どうすればいいのですか」
「そうですね…手始めに貴女からキスを」
「カットアル!…なんかAの演技が固いヨ」
ぎくっ。だって沖田くんが怖いんだもん。…そんなこと言えるはずがなく、私はただ俯くことしか出来なかった。そんな私を見て沖田くんが口を開く。
「…めんどくせえけど、俺が練習相手になりまさぁ。放課後、残っとけよ」
「…うん」
…沖田くんに見られると、逆らえなくなる。身体が縛られたみたいになるんだ。これはもう中学の頃から変わらない。
チャイムが鳴ってみんな教室から出て行く。一人、また一人と人が減っていって、残るのは私と沖田くんだけになった。
土方くんは私を気にしていたみたいだったけど、大丈夫だよと笑った。…私がちゃんとやればすぐ終わるんだから。
「…もっとこっち来なせぇ」
「…え?きゃぁっ」
沖田くんに引っ張られたかと思うと、いきなり壁に押さえつけられる。
「やっ、なに?やだ、演技の練習するんだよね!?」
「…勿論でィ。お前が俺に慣れるまで、なァ」
沖田くんの顔が近づいて来て、これから起こるであろうことに、私は泣きそうになった。
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光華(プロフ) - お疲れごはん、リアルタイムで楽しく読ませていただいてます!こちらも面白いです!私は完全に土方さん推しなので、土方さんに落ちないかな((殴 どちらも更新楽しみにしてます! (2020年6月6日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マピト | 作成日時:2019年12月6日 22時