十四話 ページ15
総悟の野郎が、藍澤に引っ付くようになった。あれから仲直り?とやらをしたらしい総悟は吹っ切れたのかべたべた毎日のように藍澤に絡んでいる。
「…おいA。ここ、違ェ。俺が教えてやるから貸しなせィ」
「うん!ありがとう、沖田くん。数学、得意なんだね、すごい」
「べ、別に?お前よりはってだけでィ。お前が鈍臭ぇだけでさァ」
…藍澤といる時の総悟は何時もの無表情はどうした、というくらいに嬉しそうな雰囲気を隠し切れていない。例えるなら、飼い主の周りをしっぽぶんぶん揺らして走り回ってる飼い犬の様だった。
そして、はっきり言う。…俺はこんな状況が非常に、非常に喜ばしいとは思えねぇ。隣に居るのに藍澤とあまり話せねえからだ。…くそ、総悟の奴め。お前はチャイナと喧嘩しとけ。藍澤は俺と話す。
…藍澤と話すのは、心が落ち着くと言うか何というか。いや、癒される。つーかなんかかわいい。すぐ赤くなんのもかわいい。男だって可愛いものが好きだ。…かわいいは正義だと誰かが言っていたが、まさにその通りだと思う。藍澤はかわいい。藍澤は正義そのものだ。否、藍澤が正義なんだ。
そんことを悶々と考えているとさらに藍澤と話したくなった。…だが総悟の野郎が邪魔で話せねぇ。くそ、どうすれば。
「あ、沖田くん。また後ででもいい?」
…話が終わったらしいな。よし。
「…藍澤。終わったか?」
「…うん?あ、終わったよ。沖田くんて、意外と教えるの上手いんだよ。すごいなぁ」
「…俺の方が上手いぞ、多分。おら、こっち来いよ」
「わっ、もう。…さては沖田くんに対抗しようとしてるね?大人気ないぞー土方くん」
「ちげえ。んなこと俺がするわけねえだろ。…いいから来いよ」
「えへへ、嘘だよ。うん、お言葉に甘えよ〜」
「…すげえ可愛い、藍澤」
「…っへ、ふぇ!?」
…やべえ。つい、言っちまった。そういう下の意味じゃねえ、と弁解する間に、藍澤がぼん、と赤くなった。…その表情を見て、今度は色々、すべての意味で可愛いと思ったから俺は言い訳をせずに謝った。
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光華(プロフ) - お疲れごはん、リアルタイムで楽しく読ませていただいてます!こちらも面白いです!私は完全に土方さん推しなので、土方さんに落ちないかな((殴 どちらも更新楽しみにしてます! (2020年6月6日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マピト | 作成日時:2019年12月6日 22時