Part75 ページ25
秀太side
予想はしてたけど、やっぱりAの姿はなかった。
みんなの気を遣う表情に心が傷んで俺は一人違う車両へと向かった。
「秀ちゃん。」
一瞬俺を呼ぶAの声がして周りを見渡す。
だけどAの姿なんかどこにもなくて…
A…
西「秀太…帰りは会えるよ。」
秀「いや…俺は迎えに行かない。」
日「おい、それじゃいつまで経ってもこのままだぞ？」
学校に着くと鈴木に呼び出される。
鈴「ちょっといいか？」
秀「あぁ…」
正直こいつと話してる余裕なんてないけど。
鈴「及川さんと何かあった？」
秀「なんで？」
鈴「今朝、駅で会ったんだ。…目が真っ赤だったから。」
秀「お前にそこまで言う権利あんのかよ。」
鈴「権利はないけど、知りたいなって。」
秀「面白がってんのか？」
鈴「そこまで最低じゃねぇよ。ただ…」
秀「なんだよ…」
鈴「いや…なんでもない…」
鈴木は悔しそうな顔をしていた。
Aにとってこういう男の方が幸せなのかな。
鈴「好きなら泣かせるなよ…」
秀「うるせぇよ…」
目が真っ赤だったか…
A…泣いてるのか?
秀「はぁ…」
西「なんだよ深いため息ついて。」
日「秀太らしくねぇぞ。」
秀「お前らは嫌われたことねぇだろ…」
日「いつ、Aちゃんがお前のこと嫌いって言ったんだよ！」
秀「こんなに避けられてんのにかよ…」
西「なんか良い方法ないかなぁ。」
「秀ちゃん!」
？！
まただ…Aの声が聞こえる。
A…
会いたいよ…
俺はAにラインをした。
"会いたい"
お願いだから、何か返事をしてきてくれ。
だけど…願いは叶わず夜になっても返事は返って来なかった。
俺は次の日Aと同じ電車に乗る。
だけどいつも乗る車両にAの姿は見えなかった。
電車から降りると駅のホームで見慣れた後ろ姿を見つけた。
名前を呼ぼうとして愕然とする。
Aの隣には鈴木がいた…
俺は少し躊躇したけど体が勝手に動いていて、
Aを抱き寄せた。
「秀ちゃん…？！」
秀「悪いけど俺の女に手出さないでもらえる？」
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作者名：mamechan | 作成日時：2020年1月17日 20時
