天高く2-8(9) ページ10
「告白されてから返事するまでの平均って一週間くらいなんだって」
「何それ?」
「WEB雑誌の記事」
カフェラテを啜りながら、マイコのスマホの画面を読む。
グラフによると確かに、最も多いのは一週間だ。
「意識してなかった人でも、告白されたらそこから意識し始め、一週間その相手を見ているうちに付き合おうと思う人が多い、だってさ」
「一週間も待たせちゃうんだ」
「それも駆け引きなんじゃない?LINEの返事もさ、すぐ返さずに間を置いてとか言うし」
「すごいね。私なんて嬉しすぎてすぐ返事しちゃう」
「Aはたまたま好きな人に告白されたからでしょ?好きじゃなかったらまず考えるじゃない」
「たしかに。そうだよね、考える時間は欲しい」
マイコと久しぶりにカフェに来た。
イベント以来、久しぶりに来たが、
前回は店員さんがみんな仮装してたから
普段着であろう白シャツに黒のカフェエプロン姿が新鮮だ。
あの時、一緒に写真を撮ることができた海賊太輔さんも
赤ずきん北山さんも、今日は白シャツ姿でカッコいい。
「男の人でもさ、やっぱ一週間ぐらい待たせるのかな?」
マイコはスマホを触る手を止めた。
「時間は必要だろうけどね…」
そうだよね、とカップを口に運ぶ。
即答で撃沈した記憶が蘇る。
「聞いてみよっか」
何を?
キョトンとしてマイコを見たが、この人はこうと思ったら行動までが早い。
「すみませーん」
「え?マイコ?」
フロアを回っていた藤ヶ谷さんが気づいてやってくる。
「ご注文でしょうか?」
さっとスマホを出す。もちろん、注文を取るためだ。
「お水もらえますか?」
「かしこまりました」
藤ヶ谷さんは微笑んで返す。
てっきりマイコはさっきの話をするんだと思ってたから
予想が外れたことに安堵する。
「それと」
「はい」
「もし、藤ヶ谷さんがお客さんに告白されたら、返事するまでどれぐらいの時間、考えますか?」
「!?」
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作者名:lettuce | 作成日時:2023年1月28日 0時