天高く2-5 ページ6
「食後のデザートをお持ちしましょうか？」
海賊の太輔さんが、食事を終えた私たちに声をかけてくれる。
予想が当たったのと、また逢えたのとで胸が高鳴る。
「お願いします」
と言ったマイコは、続けて訊いた。
「このメニューについてる撮影券なんですけど、
誰と撮りたいとか頼むことはできるんですか？」
太輔さんは、空いた皿をトレーに乗せながら、
「そうですね。
デザートをお持ちした時に、ご希望のスタッフをお伺いします。今日は混んでいるので、他のお客様と重なりますと少し難しいかも知れません」
と、教えてくれた。
「後ほど係のものがご希望を伺いますので、しばらくお待ちください」
太輔さんが、お皿も食器も全て下げてくれたので、テーブルがずいぶん広く感じる。
「誰と撮ってもらう？太輔さん？」
「そうだねー。でも第3希望ぐらいまで考えておかないと、ダメだった時に困るし、もう少し考えたい」
「だよね」
私とマイコは、スイーツが来るまで作戦会議を続けた。
程なくして、赤ずきんがやってきた。
「お客様…」
赤ずきんは申し訳なさそうに話し始めた。
私の紅芋モンブランには、プレートの中にクッキーがついている。このクッキーにはナッツが入っている。
予約した時に、備考としてナッツのアレルギーのことは書いていたが、何かの手違いで確認されないままだったことが、いざ提供となった今、ようやくわかったそうだ。
もし提供されていたら、それを食べていたら、とんでもないことになっていたかもしれない。
けれど、提供前に判明してこうして話をしに来てくれているし、謝ってもらっているのだから、大丈夫です、という話…。
赤ずきんは、クッキーの代わりにナッツを含まない他のものを添えること、お詫びにプチスイーツと撮影券をつけてくれることを話すと、もう一度謝ってくれた。
「ご丁寧に、ありがとうございます。
幸い何もありませんでしたし、こうして対応してもらっているので大丈夫です」
私がそう言うと、赤ずきんは少しホッとしたようだ。
「では、デザートをお持ちいたしますね」
ふっと力の抜けた赤ずきんの笑顔の破壊力に、思わず口元に手を当てた。
か、かわいすぎーーーっ！！！
スイーツをトレーに乗せて、再び赤ずきんがやってくるのが見えると、私たちの第一希望は赤ずきんに決定した。
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作者名：lettuce | 作成日時：2023年1月28日 0時
