天高く2-2 ページ3
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目のくりっとした小柄な赤ずきんちゃんに案内された席は、窓に面した中程の2名席。
一般的なファミレスぐらいの広さの店内は、カフェにしては少し広い印象だ。
予約客のみの昼間のカフェは満席。ほとんどが女性客だった。
「ご注文がお決まりの頃に参ります」
赤ずきんちゃんは、グラスを二つ置くと会釈して席を離れた。
「お決まりの頃にって、決まったのわかるのかな?」
「だいたいこれぐらいって目安じゃない?」
「そうだよね。気づかなかったら呼んできてもらったらいいし」
入店前に、注文はほぼ決めている。
迷っているのはスイーツだ。何があるかは知っていたけれど、ケーキを見てから最終的にどれにするか決めようと話していた。
「私、カボチャのプリンにする!
Aは?決めた?」
「うー、どうしよ。
紅芋のどっちかにしたいんだけどさ、
どっちも美味しそうで困るー」
「あー、それ迷うよね。
わかるわかるー」
わかるー、が棒読み気味なマイコは、店内のあちこちにいる店員さんをチェックしている。
「はいはい、さっさと決めるから店員さん呼んでね」
「はーい♡」
嬉しそうに返事をして、マイコは遠くの赤ずきんちゃんに手を挙げた。
…のだが、挙げきるまえに
「ご注文はお決まりですか?」
と、つい数秒前までいなかった海賊さんに声をかけられた。
「あ、はい!お願いします」
「かしこまりました」
マイコが注文してくれている間、私は何となしに海賊さんを眺めていた。胸に付いている名札には、丁寧な字でメッセージと名前が書かれている。
海賊さん、太輔さんというらしい。世の中の他の太輔さんのことは知らないが、爽やかで海賊さんにぴったりだと思った。
「…はどうする?」
「え、何?」
「ドリンクはお料理と一緒でいいよね?写真は食後のスイーツの時にする?」
「うん、それでいいよ」
海賊の太輔さんは、注文を確かめると、しばらくお待ちくださいという定番のセリフと共に行ってしまった。
「あの海賊さん、太輔さんって言うんだね」
「そうそう。
太輔さんはここのカフェのトップ3に入る人。入店前といい今といい、ついてるわ私たち」
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作者名:lettuce | 作成日時:2023年1月28日 0時