霙４ ページ17
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「ゲームのキャラクター！？」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
「しーっ！ちょ、A声が大きい！！」
あ、ごめん。
でもここ驚くとこだよね？
夜中に散々LINEで暴れて倒して、話聞きにランチに来たら
推しはゲームのキャラクターです、って、
いやいや、私じゃなくてもツッコむでしょうよ。
「それって、いわゆる2次元とか2.5次元とかいうアレ？」
「そう、なのかな。経験なくてよくわかんない」
「てかさ、そのキャラクターに熱愛報道とか、そもそもないよね？」
なんなら、ゲームの中で恋愛するんじゃないの？
「だからぁ、ないと思ってるから、ほんとにそんな熱愛とかあったらイヤだなって」
はぁ？
マイコさんよ、もうどこをつっこんでいいのかわからないよ私。
「平たく言うと、妄想して思い込んで勝手にパニックになっていた、と」
「そうかもしれないけどー、私としては本気で悩んでたんだからー」
「あー、はいはい」
「A、つめたいー」
冷たいのはアイスティで、私はフツーだと思う。
「そんな口尖らせたらタコみたいだよ」
「タコじゃないもーんっ」
タコのままぷいっと横を向くマイコは、たぶん本気で悩んでたんだろう。
「はい、タコさん、食後のデザート持ってきてもらうから機嫌なおしてね」
デザートと聞いてちらっとこちらを見るマイコの頬が緩む。
「はーい！」
「素直でよろしい」
顔を見合わせて笑う。
近くに誰か店員さんがいないか見たけど見えるところにはいないみたい。
どこかから見えるかと手を挙げてたら、キッチンからお料理を運びに出た太輔さんと目が合う。
ニコッと笑ってくれたから、気づいてくれたんだろう。
はー、ほんとニコッて顔だけで癒される。
そして、かっこいい。
手を下ろしてテーブルに向き直ると、
両肘ついて手の甲に顔を乗せたマイコが私を見ていた。
「な、何？」
「A、太輔さん好きだよねー」
「そ、うだけど、何よ。前からここのカフェ来たら太輔さんだよ、私」
「ふふーん、そうね」
立場が逆転した気がした。
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作者名：lettuce | 作成日時：2023年1月28日 0時
