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「おかえり、伊沢」
「あー、どうも」
マフラーに顔を埋めつつオフィスへと入ってきたのはやはり伊沢とヘアメイクさん。随分辺鄙なところだっただろうに、これから専属になるのだから覚えてもらうことになりそうだけど。
靴を脱いで、スリッパを履いた女性は顔を上げる。
…出会ったばかりで申し訳ないが、どうもその女性の纏っている雰囲気があいつと重なってしまって、第一印象は正直あまり良くない。
風の噂で東京で働いているということは聞いていたけれど、こんな所に限って再会してしまうなんてことは無いだろう。普通の会社ならまだしも。
「とりあえず、お世話になる社員だけ紹介しますんで…こちらどうぞ」
あまりこういう雰囲気に慣れていない僕は、執務室にいる演者を呼びに行った。女性のことは外向きモードになっている伊沢に任せておけばいいだろう。下手に僕が話すより何倍もマシだ。
「ヘアメイクさん来たよ」
「あー、今行きます」
ひょこりと顔を出して、その言葉だけ残す。椅子を入れる音が聞こえたので僕も集まるとしよう。部屋に入ると、何やらもう伊沢と山本はヘアメイクさんと談笑していた。やはり、僕とは何処か違う。
「あ、揃った？」
「うん。休んでるの以外は」
続々と部屋に人が入ってきたのを見兼ねて、伊沢が辺りをぐるっと見渡した。
「じゃあ紹介するわ。今日から専属で入って頂く、甲斐 Aさんです」
かい、カイ、会…甲斐？──流石に冗談であって欲しい。いくらなんでも人の名前を間違えるなんて失礼過ぎるだろ。早く訂正しないのか？きっと甲斐じゃなくて別の名字なんじゃないのか？
一瞬で大量の言葉が頭の中を巡る。鼓動が早まって、手に汗が溜まっていくのが分かる。ちょっと待ってくれよ、あいつだなんて聞いていない。
「右から順に山本、須貝さん、山上、福良さん、乾、こうちゃん、河村さん、そして私が…」
「…河村？」
伊沢が演者の名前を呼んでは、ぺこりと一礼していく。できることなら僕の名前が呼ばれる、その前に逃げてしまいたかった。でも、間に合わない。どうしたって間に合うはずがない。
伊沢の紹介を遮って、あいつは俺の名を口にした。
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豆大福(プロフ) - akariさん» 気付いて頂けて嬉しいです。あのお話のモチーフにさせて頂きました〜！これからも少しだけ要素は取り入れるので、引き続き読んでいただければ幸いです！ (2021年1月14日 16時) (
レス) id: 1465863246 (このIDを非表示/違反報告)
akari(プロフ) - コメント失礼します。違ってたら申し訳ないんですけど、アラシックの方ですか？？台風ジェネレーション、いい曲ですよね。大好きなんです！！ (2021年1月11日 23時) (レス) id: dcff645a31 (このIDを非表示/違反報告)
豆大福(プロフ) - *ゆ う*さん» たくさんの嬉しいお言葉ありがとうございます。そう思って頂けたら良いなと思いつつ書いたので、伝わって良かったです〜！これからもどうぞお楽しみください…！ (2021年1月9日 10時) (レス) id: 1465863246 (このIDを非表示/違反報告)
*ゆ う*(プロフ) - 最初から胸が締めつけられるいい感じの切なさで好きです。これからの二人の関係の進展も気になるところです。甘いのも良いですがちょっぴり切ない物語もいいなぁと思わせてくれる作品ですね！お気に入り登録したので更新楽しみにしています！ (2021年1月7日 20時) (レス) id: a6ab41580b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆大福 | 作成日時：2021年1月7日 19時
