閑話：Happy-Valentine ページ17
2月14日。バレンタインデーである。街中はチョコの甘ったるい匂いで溢れ、高校では女子達の交換会が登校と共に始まる大イベント。
そして現在高校3年生の私も例に漏れず、その大イベントに参加することを覚悟していた。
「A、チョコどうぞ」
「ありがと、私も」
片手に紙袋を提げて教室に入れば、やはり私の思惑通りSHRの数分前にも関わらず交換会が開催されていた。紙袋から予め作っていたチョコを取り出して、友達に渡すという流れ作業。
あぁ、また太るななんて思いつつも食べてしまうんだから、私の理性はどこかへ旅に出たみたい。
「ねえ、A。本命は？」
ひと通り交換会が終わった後、隣の席の女の子がコソコソと話しかけてきた。何故この子が付き合っていることを知っているかなんてのは簡単なこと。
私たちが付き合っていることを周りに隠しているわけではないので、一緒に帰ってるところなんかを目撃されるうちにその事実は広まっていった。
"本命"。その言葉は言わずもがな彼奴のことを意味しているわけで、私は徐に頭を抱える。
「河村でしょ？分かってるよ…」
「やっぱり今日は放課後デートしたりするの？」
「そんなこと私達がすると思う？」
高校2年生の後半から交際を始めた私たちは、進路という大きな壁にこれでもかと言うほど邪魔をされている。そこそこの進学校である我が高校は進路に対して決して適当では無いし、むしろ手厚い。
故に「進路＜恋愛」になることは有り得なかった。ましてや彼の受験校はあの天下の東京大学。彼からのお誘いが無い限りはこちらから誘うのは極力避けていた。
「えぇ、だって最後のバレンタインでしょ？」
最後、なんて言葉が胸に突き刺さった。
確かに彼が東京大学に合格すれば、それは彼が上京して遠距離恋愛になることを意味する。生涯会えない訳では無いが、かと言って頻繁に会える訳でも無いその状況。
私だって、最後ぐらい────。
「……もう、A達少し気を遣い過ぎなんじゃない？お互いにさ」
黙りこくる私の顔を見た隣の子はそう言って苦笑した。
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豆大福(プロフ) - akariさん» 気付いて頂けて嬉しいです。あのお話のモチーフにさせて頂きました〜！これからも少しだけ要素は取り入れるので、引き続き読んでいただければ幸いです！ (2021年1月14日 16時) (
レス) id: 1465863246 (このIDを非表示/違反報告)
akari(プロフ) - コメント失礼します。違ってたら申し訳ないんですけど、アラシックの方ですか？？台風ジェネレーション、いい曲ですよね。大好きなんです！！ (2021年1月11日 23時) (レス) id: dcff645a31 (このIDを非表示/違反報告)
豆大福(プロフ) - *ゆ う*さん» たくさんの嬉しいお言葉ありがとうございます。そう思って頂けたら良いなと思いつつ書いたので、伝わって良かったです〜！これからもどうぞお楽しみください…！ (2021年1月9日 10時) (レス) id: 1465863246 (このIDを非表示/違反報告)
*ゆ う*(プロフ) - 最初から胸が締めつけられるいい感じの切なさで好きです。これからの二人の関係の進展も気になるところです。甘いのも良いですがちょっぴり切ない物語もいいなぁと思わせてくれる作品ですね！お気に入り登録したので更新楽しみにしています！ (2021年1月7日 20時) (レス) id: a6ab41580b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆大福 | 作成日時：2021年1月7日 19時
