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《昨日はありがとう。気持ちよさそうに寝てたから、私はそっと出ることにします。そう休みなんて取れないぐらい忙しいみたいだから、しっかり休んで下さい。》
何かの資料の端を切り取ったのだろう。歪な形をした紙に書かれた文字は学生時代よく見たもので、あの時と変わらない、メリハリのある綺麗な字であった。それに懐かしさを覚え、何となく紙を捨てずに棚の上に。
昨夜気付いたこと。失われた時間と、それを取り戻すためにかかる時間は比例する。
1年間を取り戻すのですら時間がかかると言うのに、10年以上と言ったら気が遠くなる。それをたったの昨夜きりで取り戻せそうだなんて期待を抱いていた僕は浮かれていたと思う。少しずつ、少しずつまた距離を埋めるようにした方が安牌だ。
いつまでも分からないこと。"愛"というものの正体。
今こそこんな関係ではあるけれど、付き合っていた当時は甲斐のことを大切に思っていた。それが愛だと思っていた。しかしながら、もうアラサーになる今でも"愛"を正確に掴めていない。
『…離れたら、ダメになるよ』
結局、あの日の甲斐の言う通りだった。僕は少なくとも甲斐を嫌いになった訳では無かった。ただ単に、互いの予定があまりにも合わな過ぎたのだ。
僕は僕で大学がそれなりにあったし、あいつもあいつで資格の取得に全身全霊でいた。僕らは多分、遠距離恋愛をするべきでは無かったのだと思う。
そうしていく内に段々と連絡が取れなくなり、別れの言葉すら言えなくなっていた。
目から遠ざかれば、心からも。
どこか遠くの国のことわざ。意訳すれば、会えない時間が心の距離をも遠くするということで。やはり長年語り継がれてきたことわざというのは信憑性があるのだなと感じた。人間はなんだかんだ新しい状況にも適応するし、寂しさなど時間が経てば忘れる物。もちろん愛の形だって変わるし、薄れてもくる。
僕が東京大学に受かって行かない選択肢など無いし、だからと言って無理やり甲斐に東京の専門学校にしろなんて言うつもりは昔も、今考えたって無い。故に、多分、しょうがない出来事だった。
流行りのラブソングのようにはいかないし、運命なんてものは端から信じられないけれど。もう遠くで眺めているだけの関係は嫌だって、今になって思ってしまったから。
やっぱり僕は諦められない。お前が逃げてるって分かってても諦めないよ。
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豆大福(プロフ) - akariさん» 気付いて頂けて嬉しいです。あのお話のモチーフにさせて頂きました〜！これからも少しだけ要素は取り入れるので、引き続き読んでいただければ幸いです！ (2021年1月14日 16時) (
レス) id: 1465863246 (このIDを非表示/違反報告)
akari(プロフ) - コメント失礼します。違ってたら申し訳ないんですけど、アラシックの方ですか？？台風ジェネレーション、いい曲ですよね。大好きなんです！！ (2021年1月11日 23時) (レス) id: dcff645a31 (このIDを非表示/違反報告)
豆大福(プロフ) - *ゆ う*さん» たくさんの嬉しいお言葉ありがとうございます。そう思って頂けたら良いなと思いつつ書いたので、伝わって良かったです〜！これからもどうぞお楽しみください…！ (2021年1月9日 10時) (レス) id: 1465863246 (このIDを非表示/違反報告)
*ゆ う*(プロフ) - 最初から胸が締めつけられるいい感じの切なさで好きです。これからの二人の関係の進展も気になるところです。甘いのも良いですがちょっぴり切ない物語もいいなぁと思わせてくれる作品ですね！お気に入り登録したので更新楽しみにしています！ (2021年1月7日 20時) (レス) id: a6ab41580b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆大福 | 作成日時：2021年1月7日 19時
