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◯(佐久間side) ページ33

ひかるの真面目な声に、その場の空気が固まる。
Aちゃんを見ると、瞳が揺らいでいて。動揺してるのがみてとれた。




岩「事務所の要求に対する各所からの返事が固まったっぽい」

向「えっ…」

A「…っ!」




ビクッ!とするAちゃん。




佐「ひかる、ちょっと待って。Aちゃん、ぎゅーしよ、おいで」




声をかけると、すぐに来てくれる。いつもなら拒否するのに。




佐「しょった、せなか」

渡「ん」




腕の中のAちゃんは小さく震えてる。昨日と、夜と同じ。
元気になっても、元気じゃない。そんな簡単には、元通りにはなれないよね。




佐「Aちゃん?だいじょーぶ。俺もいる。翔太もいるでしょ?背中さすってくれてんね」

渡「…ここにいっから」

A「……ハイ……」

佐「俺らいるから、一緒に聞こ。」

A「…ハイ」

佐「ん。ありがとひかる、お願い」




小さな頷きを確認して、ひかるに先を促す。どんな結果でも俺らは味方だよ、の気持ちを込めて、抱き締める腕の力を少しだけ強くした。




岩「……えっと……あ、よかった」




緩む、ひかるの口許。




岩「まず、各紙の訂正文とかそーゆーの。受け入れられたらしい。次号にて掲載だって。新聞系は明日。記者の引き上げも指示されたって」

向「おお!」

佐「…よかった…」

岩「あと、閂は…」

渡「…なにもないとかねぇよな」

岩「うん、訴えは受理されたっぽい。閂を、ちゃんと法のもとで裁けるよ」

向「わぁ!!!よかったやん!な!」

渡「はぁ…よかった…」

岩「なんか、撮影スタジオのスタッフさんとかも、Aちゃんはそんな人じゃないって文章だしてくれたらしいよ。慕われてるね、Aちゃん」

向「で?で?どうなるん、これから」

岩「とはいえ騒動にはなってるから、Aちゃんの身を守るためにも最初に話してた自宅待機期間はそのままで、その後は普通に復帰をお願いしますってさ」

佐「よかった!よかったね、Aちゃん!」





腕を緩めて顔を覗き込むと、また目が真っ赤で。
だけど、昨日とは違って、嬉しそうだった。




A「皆さんの今が、皆さんの努力によるものだって認められて、よかったです」

佐「……っ!にゃー!ありがとう!」

岩「ありがと」

向「ありがとうな!けど俺らも、Aちゃんがなんもしてへんって認められて嬉しいで!」

渡「それな」




腕の中でニコッて笑ったその笑顔は、ここ数日で一番かわいかった。

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作者名:まめ | 作成日時:2023年2月2日 6時

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