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事務所のロビーに、大ちゃんの低い声が響く。
ただでさえ通る声。決して大きい声ではない、けど。
普段と違う、怒りを含んだ低い声が、響いて。
思わず、全員、黙った。
佐「お前さ、自分がおかしなこと言ってるって自覚ないわけ」
閂「私はおかしくない！楠が悪いの！」
佐「あのさ、今の話のどこに、Aちゃんが悪い要素があんの」
閂「存在自体が悪いじゃない！おばさんの癖に、Snow ManにもSixTONESにも色目使って仲良くして！」
佐「色目なんて使われた覚えないんだけど」
閂「使ってるじゃん！しょっぴーに変な飲み物渡したり」
佐「変な飲み物？」
渡「あれあれ、ハニーレモンジンジャー」
京「あれうまいっすよね」
佐「あれは喉にいいやつ。マネージャーならタレントの体調管理は仕事だろ」
閂「HiHi JetsだけじゃなくてSixTONESやSnow Manのメンバーの送り迎えもするし！」
佐「それはお前がでかい車運転しようとしないからだろ」
閂「ジャにのの時も、他のグルーブのメンバーと楽しそうに話して！」
佐「Aちゃんが今まで培ってきた人脈だろ」
閂「あと…あとは…っっ」
佐「そんだけ？そんな事で、Aちゃんが俺らに相応しくないって判断したの。はぁ？」
大ちゃんは１度も私の方を向かず、閂さんにまっすぐ、話す。
佐「Aちゃんはな、お前の想像もつかないような努力をして、お前の何百倍も俺らの事を考えて、お前の何千倍も俺らの役に立ってくれてんの」
閂「そんなことない！私の方が…私の方が…っっ！！」
佐「お前は、Aちゃんの足元にも及ばない」
閂「楠なんか…おばさんのくせに…！」
佐「俺らに必要なのはお前じゃない、Aちゃんだ
だから」
ふっ、と。こっちを向いて、今日初めて、私の目をみてくれる。
佐「自分を責めないで、Aちゃん。」
ああ
すべてお見通しだった。
深「…はぁ。佐久間、そろそろ落ち着け。
Aちゃん、レコーダーまだ生きてる？」
A「え？」
深「レコーダー。持ってんでしょ？まだ生きてる？」
A「えっ…あっ…えっと…はい、まだ生きてます」
深「性能いいね。閂さん、ここに今のお前の自白が入ってっから」
閂「……」
深「これは、上層部に提出させてもらうから。」
閂「……」
深「いいね？」
閂「……」
その後。ふっかさんに呼ばれた樺さんが事務所に来て、レコーダーを引き取っていった。
閂さんは、もう。
何も、抵抗しなかった。
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作者名：まめ
| 作成日時：2022年12月25日 9時
