男の子 ページ8
(楠side)
康二くんが運転してくれた社用車を降りると、外はもう真っ暗。まあそうよね、夕方から始まったパーティーだもんね。
雨が降ったのかな、道路も、木々も濡れてる。
だからか、いつもよりも…
A「ちょっと、肌寒い、な」
ふるるっと震える。
ドレスって、とくにこれはシフォン素材だから、薄手で風通しもよくて…しかもフレンチスリーブなんてほぼノースリーブやん、寒いて。
しゃーないな…えっと…最初に着てたスーツのジャケットがあるはず…
向「ん?どうしたん?」
後ろから、声。
返却の手続き終わったんやな、もうほんとありがたいわ…
A「車、ありがとぉ」
向「いや、それはええんやけど…寒いん?」
A「ん?ちょっとね。スーツのジャケットがあるからそれ羽織ろうかなって…どこや…この紙袋か…」
向「…」
ふわっ
と
腕に触れる感覚。
見ると、今まで康二くんが着てたジャケットが。
A「あ、ありがとう、けどええよ、あるから」
向「ええねん。こういう時は、ありがたく羽織っとくもんやで?」
A「…そういうもん?」
向「そういうもん」
A「…ありがと」
向「ほんとは荷物も持ちたいんやけどなー」
A「それは遠慮します」
すご。男の子らしいこと言ってる。
うん。
康二くんの体温が残っとって、あったかいわ。
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作者名:まめ | 作成日時:2023年8月1日 17時