過去の出会い ページ5
〜回想〜
父も母も警察官の私の家では、
両親共に忙しくて家に居ることがほぼ無かった。
それが当たり前だったうちでは、
特に親のことを恨んでいるとかは無かったけど
やっぱり寂しくて。
自分は警察官にならず、
仕事と家庭を両立できるような仕事につきたいと思っていた。
高校生にもなると実質一人暮らしで、
家事、洗濯、掃除など卒なくこなしながら勉強していた。
貴「…この時間だと、あのスーパーでお惣菜安売りしてるかも」
塾の帰り。流石にこの時間から夕飯を作るのは面倒くさい。
明日も学校だし、今日くらいお惣菜で手抜きしていいよね。
そう思い、裏通りを通ってスーパーへ向かっていた。
貴「……痛っ…!!!」
近頃この通りに、
スタンガンを持った猥せつ犯が出るということを知らずに。
ーーーーーーーーー
貴「…っ」
頭がぼーっとする。ここは__
貴「ひっ」
脚に気持ち悪い感触。
見ると、おじさんが私の太ももを触っていた。
助けを求めたくても、不思議なことに声が出ない。
貴「ぅ…っ」
ニタニタと笑う犯人の手が、徐々に上に伸びてくる。
その手が太ももの内側にまで伸び、
嫌悪感から目をギュッとつむる。
貴「誰か、たすけて!!」
あぁもう駄目だ…
お父さん、お母さん…
この国の治安のために働いてるのかもしれないけど、
娘のことも守って欲しかった。
私、寂しかったんだな、、
「__この変態野郎!!」
男は誰かに飛び蹴りされたみたいで、突然吹っ飛んだ。
「怖かったね、もう大丈夫だよー」
縛られてた私の腕の縄を解き、上着を膝に掛けてくれたその人。
頭をポンポンと撫でてくれて、
我慢していた涙がウワっと出てきた。
その人は逃げる犯人を走って追いかけていった。
貴(足、速いな…)
私はその人の背中をぼーっと見ながら
泣き疲れたのと安心とでまた眠ってしまった。
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作者名:さみょん | 作成日時:2023年6月22日 15時