Act.42 ページ44
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あいつと会ったのは本当に偶然だった。その頃のあたしは芸能界に入ったばっかりで、作ったばかりの小さな会社だったから仕事もあまりなかった。坂さんがあたし達の事を売りに出しても周りからはいい顔をされず、歌も聴いていないのに断られる事が多かった。
そんな生活をしていればストレスもすぐ溜まるわけで、でもカラオケに行くお金なんてなかったから、近くで大声を出せる場所を探して河原を思い付いたのだ。
周りに人もいなかったから、ここなら気持ちよく歌えそうだった。ストレスを発散する形で最初は歌っていたが、それじゃダメだとすぐに歌に気持ちを込めて歌うようになった。
そんな毎日行っていたわけではなくて、１週間に１回の時もあれば２日続けて行ったりもしていた。そんな時に、あいつに会ったんだ。
(また見てる。)
何となく視線を感じてそちらを見れば、いつから見ていたのか分からないけど、あいつがいた。これが初めてじゃなく何度か見られていた。
いつもあたしを見ていて、その視線がなんか気になってなんとなく、声をかけた。
「見過ぎ。てか、いっつも見てるよね？暇なの？」
思えばあたしの言葉は酷かったと思う。あいつの事情も知らず暇なの？なんて。でもそれからあたし達は仲良くなるのが早かった。あっちも音楽をしていて、バンドを組んでいた時もあったという。今は画家の卵らしく家には画材がたくさんあると言っていた。
「へぇ！ねえ、絵見たい！どんなの描いてるの？」
「じゃあ家来る？描きかけなんだけど、今度展示で出すやつあるからさ。」
そんな一言であいつの家に行った。部屋には壁一面になる大きな絵が飾られている。まだ途中という事で塗られていないところもあったが、本人みたいな絵だなと思った。
「A、Aに送りたい絵があるんだ。受け取ってくれる？」
「あたしに？」
渡されたのは袋。その中には額縁が入っているのが触ってわかる。袋の中からその額縁を出すと、あたしが歌っている時の横顔が描かれていた。
「キレイ…。」
「ごめん、あまりにもキレイだったから描いちゃった。ダメだった…？」
「っううん！ありがとう！嬉しい…！」
「良かったぁ…。」
あたしの返事にへにゃりと笑ったあいつに、その時初めて、あいつを好きになったんだと思った。
それから少しして、あいつと恋人になり、結婚を約束した。それは果たされなかったけど。
そんな思い出の詰まった河原に着いた。
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mameiyiteng3(プロフ) - りるとさん» ご指摘ありがとうございます、早速直させていただきます！申し訳ありませんでした。 (2020年2月14日 17時) (
レス) id: a55d9f83ab (このIDを非表示/違反報告)
mameiyiteng3(プロフ) - Riさん» 遅くなり申し訳ありません！ご指摘いただきありがとうございます。曜日が確かに間違っていたので、直して掲載しております。申し訳ありませんでした。 (2020年2月14日 17時) (レス) id: a55d9f83ab (このIDを非表示/違反報告)
りると - act33にある宮野さんの名前の漢字なんですけど守じゃなくて真守なので直した方がいいかと思います。とても面白い作品なので楽しんで読んでいます。 (2020年2月14日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)
Ri(プロフ) - act.30くらいで夜遊びの曜日なのですが、安元さんと江口さんが出ていらっしゃるのは、火曜日ではなく月曜日ではないでしょうか？お話、とても面白いです。 (2020年1月26日 11時) (レス) id: 6e0fe8bfcb (このIDを非表示/違反報告)
mameiyiteng3(プロフ) - misteriascatさん» ご指摘ありがとうございます。23話を非公開の状態にしていました…。 (2020年1月3日 21時) (レス) id: a55d9f83ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきら | 作成日時：2019年12月8日 19時
